March 09, 2012  
     ちょこっと講座
#034 スリー・ステップについて
 
 

以前、スリー・ステップについて、下のような二つの質問を別々の人から受けたことがあります。今回は、それをまとめて書くことにします。

質問1:
 「“ダンスファン”の付録DVDの中で、柳橋先生がスリー・ステップを男性右足からQQSと説明していますが、左足からSQQではありませんか?」

質問2:
「フォックストロットという踊りの中で、男性左足のフットワーク「H」は、どういう意義(効果、狙い)があるのだろうかと考えてしまいます。流れるように踊っていくフォックストロットでは(不自然ではありませんか)?」


質問1についてですが、ダンス界には2種類の教本があります。
ひとつはISTD発行の“ザ・ボールルーム・テクニーク”(かつてのリバイズド・テクニック)。もうひとつは、IDTA発行の“テクニーク・オブ・ボールルーム・ダンシング”です。

この二つの教本には、ほんの少しですが違う所があります。今回のスリー・ステップもそのひとつで、男性のスリー・ステップを 左足−右足―左足 とするのがIDTAで、右足―左足―右足とするのがISTDです。

これで、柳橋先生の説明はISTDのテキストに基づいていることがお分かりになると思います。決して間違っているわけではありません。

フェザー・ステップにも違いがあり、IDTAでは、男性右足からスタートして3歩ですが、ISTDでは次の左足までが含む4歩で説明されています。どちらの教本もリバース・ターンは男性左足からになっていますので、そうすると、ISTDではフェザー・ステップの最終歩とリバース・ターンの1歩目がダブル事になります。

このようにISTDの教本では多くのフィガーの最終歩が後続フィガーの1歩目と重なるようになっています。よって、スリー・ステップの最終歩はナチュラル・ターンの1歩目と重なることになります。ちょっとややこしいですね。ただ、そうすることの背景には、「ひとつながりの動きが自然な形で完了する所まで」との思想があるようで、確かに、フェザー・ステップで考えてみると、SQQの“Q”で止まるより、SQQSの“S”で終わる方が止まりやすいですね。


質問2について考えてみましょう。
因みに、この質問を寄せてくださったのは(KKさん)で、この方は、いつも難しい質問を寄せて来るので、とても私自身の勉強になっています。

さて、便宜上、スリー・ステップを男性の左足から始まる3歩と考えた場合、男性1歩目左足のフットワークは“H”であって、“HT”ではありませんが、それはなぜか。流れるようなフォックストロットの動きに反するのではないか ― という質問なのですが、私が持っているケン・アクリル氏の資料に次のようなQ&A例示があります。

Q:「なぜ、その足はHTではなくHか」
A:「その足での回転やライズがないからです」

では、なぜ回転やライズをしないかとなる訳ですが、残念ながら、私には明快な答えを持ち合わせていません。しかし、もし、そこを“HT”にすると、次の右足のフットワークの選択肢は、“T”か“TH” しかありませんが、どちらを選んでも、動きが不自然になってしまうと思います。周囲でスリー・ステップの動きがおかしい、と思われる人のフットワークをチェックしてみてください。必ずと言っていいほど、左足を“HT”で踊り、次の右足を“TH”で踊っている筈です。

私には“H”だからこそ、イン・ラインでの直線的なウォークの距離を出せると思います。

フォックストロットの原型はウォークとスリー・ステップとある種のスピンから成り立っていたようですが、踊りの進化の中で、このステップ“H”とした先人の知恵と、次のクイック・カウントの右足を“HT”にした素晴らしい工夫には、驚かされてしまいます。

 
  ハッピー・ダンシング! Makoto Kammoto