MA29 スロー・カウントの取り方

どこかの誰かのダンスに役に立つことを願い、拙書「社交ダンスがもっと好きになる魔法の言葉」を公開中です。今回から、第3章「スタンダード・ダンスの悩みを解決する11の話」に入ります。今回はスローカウントの取り方。北海道や神奈川などの県名も登場します。(?)

 

MA29 第3章 スタンダード・ダンスの悩みを解決する11の話
(第7話)スロー・カウントの取り方

 

スローのカウントの取り方が難しいです。踊るとつい速くなり、流れるようなムーブメントができず悩んでいます。スロー・カウントをきちんと取れるコツが知りたいです」

こういう悩みを聞くことがよくありませんか? 偉そうなことは言えませんが、もしかすると問題は、カウントの取り方を変えるだけで解決するかもしれません。そうだとすると、グッド・ニュースでしょ?

 

■ビクター・シルベスターのテクニック

かつて、ビクター・シルベスターの名著"Modern Ballroom Dancing"を翻訳していて、この一文に出合ったときは、とても感動しました。

「フィガーを覚え易くするため、拍子をスローとクイックに置き換え、スローは2拍、クイックは1拍と簡単に覚えましょう。1つのスローにはクイック2つ分の長さが、1つのクイックにはスローの半分の長さがあります。私は生徒たちが、『スロー』と言いつつ『クイック』の速さでステップする傾向があるのを見てきました。

こうした傾向がある初心者には『スロー』の代わりに『スローリー』(Slowly:ゆっくりとの意味)と言わせると良いでしょう。言葉が長い分、ステップするのも少し遅くなるからです」。

つまり、言葉としての「スロー」の長さが「クイック」と同じだから、踊り方も「クイック・カウント」になってしまう。だから、言葉を倍の長さの「スローリー」にして踊ると、その分、足の上に長くいられる――――というアドバイスです。これは、すごく効果的です。

 

そこで、いつも冗談ばかり考えている私は、その日本語版を考案しました。

私の出身地「北海道」を使い、(S)を「北海」、(Q)を「道」に置き換えると、音の長さの違いがちょうどよく出ます。つまり、フェザー・ステップ(SQQ)を「ほっかい・どう・どう」と口にする訳です。自分で惚れ惚れしちゃうワンダフル・アイディア!(笑)。

これをサークルでやらせると、やはり効果抜群! 誰も音を外しません!

しかし、みんなが真剣に「ほっかい・どう・どう」している合間に、私がつい、「あ、それ!」と、合いの手を入れたりするものですから、みんな笑い崩れ、終いには、「いやだー、盆踊りみたい! スローリーの方がいい!」と反乱が起きてしまいました。

失敗、失敗・・・・・・(笑)。

でも、真面目な話、口にすれば盆踊りかもしれませんが、心の中で思う分には何ら問題ありません。

私のように郷土愛のある人は、ご自分の県名で試してください。例えば、「神奈川・県・県」もOKです。千葉県や奈良県だと長さの違いが出ないので、他県に移住しましょう(笑)。

 

■ミルコ・ゴッゾーリのテクニック
フォックストロットのスイング感を得るのに、”One Swing, Nothing, Nothing”と教わった人は多いと思います。

これは、(S)でスイングを起こしたら、次の(QQ)は、(S)で得たスイングの余韻を使うだけといった意味です。すなわち、(QQ)では「ステップして出て行こうとしない」と。

 

これと同じ意味合いですが、元世界チャンピオンのミルコ&アレッシア組がレッスンビデオの中で使っていた別の表現を紹介しましょう。

「別のカウントの取り方を紹介しましょう。この方が脚部と上半身を使った、より良いスイングができ、よりスロー・フォックストロットらしくなるのが分かると思います。

それは、スロー・カウントではイタリア語で脚部を意味するガンベ(Gambe)、クイック・カウントではボディを意味するコルポ(Corpo)を使う方法です。

(踊って見せてから)ごらんのように、私がガンベ、つまり『脚』と言いながら踊ったところではダウン・スイングとなり、下半身により大きなエネルギーを起こしています。それから、『コルポ、コルポ』、すなわち『ボディ、ボディ』と言っているとき、私は脚の上にボディを運びスイング・ムーブメントのバランスを取っています。

*ミルコ&アレッシア(Mirko Gozzori & Alessia Betti)
*ビクター・シルベスター(Victor Silvester)
 

スロー・カウントを表現する
オリジナルの言葉で遊びましょう。

(「第3章 スタンダード・ダンスの悩みを解決する11の話(第7話)スロー・カウントの取り方」おわり)

 

ハッピー・ダンシング!