#286 あまりにも淋しい、知らんぷり

ダンスをしていると、「ちょっとしたこと」で一気にレベルアップした踊りになることが多々あります。そこで、拙書「パーティーはおまかせ」(入門・初心者向け)掲載のコラムを取り上げ、その「ちょっとしたこと」を更に掘り下げます(全30話)。第30話は「あまりにも淋しい、知らんぷり」の話です。

 

#286 あまりにも淋しい、知らんぷり
ルンバ編⑩ナチュラル・トップで書いたコラムを掘り下げます。

 

 

 

ある時、サルサのレッスンを受けていると社交ダンスの話になり、先生が「こんな感じですよね」とスタンダードの男性のホールドする格好をしました。全身ロボットのように硬直し、左を向いています。私は、「いえいえ、それでは踊れません」と笑って答えましたが。

世間が抱く社交ダンス(スタンダード)のイメージはそのような形で根付いていますが、だからと言って、私がむきになって否定する話でもありません。自分が知らない分野の動きを真似すると、それも随分違うのでしょうから。

 

 

  ✅スクエアはどうありたい?

スタンダードでは男女が互いに相手の「右側にずれて」組みますが、ラテンでは比較的正面に組みます。ナチュラル・トップの組み方を、私はその形を単に【ダンス・ホールド】と言ったりしていますが、クロース・ホールドとかクローズド・ポジションとの用語も使われます。この【ダンス・ホールド】の感覚を「ハグと同じ」と思ってみませんか?

「ハグ」と思うと、とても優しく相手を包み込む感じになりますが、「ダンス」と思うと、「両肘張って顔は横向いて」と、変にインプットされたイメージで踊りたくなります。「正面に組む」→「スタンダードの形」→「体を硬直させ顔は左」の図式からそうなるのかも知れません。

 

そもそもダンスは楽しいアクティビティですから、「二人で楽しく踊る」がにあり、それを「少し奇麗に見せる」のはで良いと思います。それを逆からアプローチしてしまうので、「体を硬直させ顔は左」になってしまうのでしょう。それでは、いつもよりお洒落してデートをしたら、お洒落に気が取られて表情も動きもコチコチになってしまうようなもので、何が目的か分からなくなってしまいます。

「スクエアはハグで、ハグの延長で少し奇麗な形」にしようと考えてみて下さい。

 

 

📌では、実験です。

二人一組になってハグをし、相手のことを「大好き」「好き」「嫌い」「大嫌い」のどれかを思ってみましょう。

きっと、結構な確率で相手が思っていたことが分かるでしょう。特に相手が「大嫌い」と思ったときは「嫌がられている」感じがすぐに伝わってきたことでしょう。相手がすごく顔を背けようとしていることや首筋に妙な力が入っていること、そして、ハグしている両手からはハグしたくないと思っている思いなどが。すると、一気に「踊りたい」気持ちも「踊れる」感じも消えて行くことでしょう。

 

「踊りは楽しい!」、「この人と踊りたい!」 ―― そう思っているだけであなたの踊りは楽しい踊りになります。反対に、楽しく踊りたいと思っているのに、必要以上に顔を背けたり、首筋に力を入れたり、ホールドを張りすぎたりするとナチュラルな動きが阻害され、ただ動き回るだけの踊りになってしまいます。その上、相手は「あなたから嫌われている」と勘違いしてしまいますから注意しましょう。

 

 

  ✅急な右曲がりの道

あなたは車を運転しています。目の前の道が右カーブに入りました。ハンドルを切って行くとその先は凄く急な右カーブが続いています。さて、運転手のあなたは、どこを見てカーブを曲がって行きますか?

ナチュラル・トップは急な右回転です。急な右カーブを上手に運転する気持ちで踊りましょう。

 

拙書「パーティーはおまかせ」から20の初心者向けのコラムを取り上げてきましたが、どれもこれも本当に「ちょっとしたこと」ばかりです。でも、この20の「ちょっとしたこと」を実行していると、知らない間にレベルアップしている自分を発見することでしょう。ちょっと嬉しくありませんか?

ハッピー・ダンシング!

【関連記事】
#284 あっちの人、こっちの人に!(何を演出する?)
#157 13.ナチュラル・トップ

 

【追記 2018/09/01】かつての世界チャンピオン、アラン&ヘーゼル・フレッチャー(Alan & Hazel Fletcher)のレッスンビデオからルンバの一部を切り出しました。スタートで二人はカールからナチュラル・トップに入りますが、ヘーゼルさんの顔の向きを見て下さい。素敵だと思いませんか? その他、ロンデ、女性の前進ウォークス、オープニング・アウト・ムーブメントなどが入っています。

 

 

💖サークル活動のひとこま

🔎サークル活動を始めて間もない頃、世界チャンピオンだったアラン&ヘーゼル・フレッチャー組と玉城盛辰・富美子組を対談形式でインタビュウする機会がありました。月間ダンスファン創刊から3号目で(1986年5月号)ダンスの一般誌としては初めての世界チャンピオン・インタビューでした。

 ■対談を読む(PDF) 

 

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