#333 私とダンスとアレクサンダー・テクニークと(その1.潜入捜査開始!)

 

#333 私とダンスとアレクサンダー・テクニークと(その1.潜入捜査開始!)

 

プロローグ 

近年の私たち夫婦のダンス活動におけるアレクサンダー・テクニークの存在はとても大きなものとなっています。自分たちが踊る上で役立っているのは勿論ですが、教える側に立ったときにも大きな力を発揮しおり、生徒さんが抱える問題の原因を探っていくと、目の前の現象からかけ離れた所で原因が見つかる場合が多々あります。そうした時、私たちはアレクサンダー・テクニークと出逢ったことに心から感謝します。

日本のどこかで「より良い、より質の高いダンスを自分の中に見つけたい」と模索している人たちがきっといるに違いありません。そうした人たちに向けてこの「私とダンスとアレクサンダー・テクニークと」を書いていきます。

 

不思議な出会い

私がアレクサンダー・テクニークという言葉を知ったのは、2007年のことです。その年の冬、娘が ―― 

「面白いから行ってみて。その人もお父さんに会いたがっているよ。お金は払ってあるからね」

と、占い師(←最適の表現ではない)にアポを入れてプレゼントしてくれました。そこで、ひょいひょいと表参道の Healing Beauty Salon へ出かけて行き、チャメリさんという人にお会いしました。そして最初に交わした言葉がこれです。

 

チャメリさん:今日はどのようなご相談ですか?

:いやいや、私の相談ではありません。娘が、あなたが私に会いたいと言っていたというので、会いに来たのです。(笑)

チャメリさん:そうなんです。お嬢さんが来てくださったとき、私はお父さんにある本をお薦めしようと思っていました。

そうして教えてくれたのが「アレクサンダー・テクニーク」という本のことでした。どんな本か全く見当もつきませんでしたが、「きっと役に立つと思います」と勧められ、また、私も何かを感じたので、その夜のうちにアマゾンで2冊ほど注文しました。

しかし、届いた本を手にしてみると、残念ながら私には読みにくく感じたのでそのまま放っておくと、妻が読み始めたのです。何かを感じたのは妻だったかもしれません(汗)。何はともあれ、アレクサンダー・テクニークとの出会いのきっかけは、全く知らない一人の占い師さん、正確にはスピリチュアル・カウンセラーさんからだったのです。

 

潜在意識のなせる業?

アレクサンダー・テクニークの本を買って暫くしたある日、ダンスファン編集部の人が、「先日アレクサンダー・テクニークのことを話されてましたよね。実は、その体験の招待状が編集部に届いているのですが興味ありますか?」と尋ねてきました。「はい、あります!」とすかさず答えたのは、勿論、妻でした。

そのときのレポートは2008年ダンスファン4月号 に掲載されました。レポートの中含まれている主催者のジェレミー・チャンス(Jeremy Chance)氏から別途ダンスファン読者へ向けて頂いたコメントを抜粋して紹介します。

 

綺麗にスピーデイに踊れるようになりたいと考えたことはありませんか? そんなとき、私たちのアレクサンダー・テクニークを役立ててみてはどうでしょう。安定感を得る秘訣は脊椎と頭の関係にあります。

安定性とは中心軸(頭、背骨、肋骨)の脊椎に備わった機能なのです。身体の動きとは背骨と四肢の機能ですから、安定性と柔軟性を保ちながら踊りたい人は、背骨と四肢の動き方を研究する必要があるのです。そのため、ヨガや様々な格闘技の中で研究されてきましたが、ダンスにも、このアレクサンダーテクニークを実践応用することは可能です。

アレクサンダーは人の動きに関する実にシンプルで深遠な真実を発見した人です。それは、頭の内部に背骨の動きを支配する要素があり、そして背骨の動きが四肢の動きの質を決定するということです。これを理解するとダンスが上達します。では、どうして頭と背骨の関係はそれほど重要なのでしょう? わたしたちの頭の動きは背骨に2通りの影響(背骨を伸ばす、縮める)を与え、背骨が長くなるとバランスがよくなります。それは身体の内部で自然にバランスを整えようとする働きが行なわれるからで、これにより手足が自由に素早く動ける空間が作り出されます。

アレクサンダーのもうひとつのすばらしい発見―それは、私たちの動きのひとつひとつは呼吸、血液循環、消化、視覚など身体のあらゆる機能に影響を与えており、身体を自然な方向に伸ばして戻すと、健康状態も向上するということです。(チャンス氏)

 

■参考:2008年ダンスファン4月号(PDF)

Download (PDF, 624KB)

 

私はこの一連の繋がりを振り返る度、驚くというか感心してしまうのです。

 → 娘のプレゼントでチャメリさんに会いに行く

 → アレクサンダー・テクニークの本を紹介される

 → ダンスファンから招待状を頂く

 → 体験に参加して「ひとりでできるアレクサンダー・テクニーク」の翻訳者片桐ユズル氏のサインまで頂いて帰ってくる。

 → チャンス氏が快くダンサーのためのアドバイスをして下さる。

これは深層意識のなせる業なのでしょうか? そうであるにしてもないにしても、この時点で、私たち夫婦はすでに半歩、アレクサンダー・テクニークに近づいていたのでした。 

 

潜入調査開始!

実際にアレクサンダー・テクニークを習いに行くようになったのは2009年4月です。当時、ダンスウイングという隔月発行誌に深く関わっており、その中でアレクサンダー・テクニークを連載記事として取り上げようと密かに計画していました。しかし、ジェレミー・チャンスさんが言うように本当にアレクサンダー・テクニークはダンスに役立つのでしょうか? 役立つにしても「どの程度」役立つのでしょう。それを体験して実感しなければ記事にはできません。

そうした思いで妻と通い始めることしましたが、正直、最初の頃はよく分かりませんでした。私たちが通ったのは目黒の「ボディ・チャンス」です。そこには、入門者はこれ、初心者はこれという決められたプログラムはなく、毎回、「何を知りたいか」「どんなことをしているときに体がどう辛いか」というような質問をこちらから出し、それについて考えていくのでした。そこで毎回、目黒に向かう電車の中で「何を質問しようか」と頭を悩ますことになりました。与えられるテーマがない形式は案外しんどいものでしたが、最終的には自分の体を見つめるにはこれが最善の方法と納得することになります。

数年後、”Dancing Beyond The Physicality”(マッシモ・ジョルジアンニ著/邦書「マッシモ・ジョルジアンニが教えるダンサーのためのメンタル・トレーニング」白夜書房) を翻訳しているときにアレクサンダー・テクニークとマッシモさんの両方に感心したことがありました。教える側と教わる側のことがこう書かれていたのです。

 

私は習いに来る生徒に、私のところに来るきっかけは何だったのかと必ず尋ねます。生徒たちの目的は何か、何を成し得たいと思っているか、それを知らなくてはならないからです。ですから、誰かがレッ スンに来て、「えーと、スロー・ワルツをお願いします」と言ったとすると、6小節も踊らないうちに止めて、助けを乞うような目つきになることを私は知っています。

このような若者の、はっきりしない態度は理解できないこともありま せんが、一人前のダンサーの取る態度としては受け入れられません。む しろ、私に向かって「あなたのレッスンを受けるというより、私たちの踊りを見て頂き、その上で、私たちに欠けているものを教えて欲しいのです」と言われるほうが好きです。 多くの場合、あなたがレッスンで何をしたいかを理解していれば、目的に到達することができるからです。それが肉体面で直ちには可能にならないかもしれませんが、その後のレッスンを通して、目的到達のため 何をすべきか理解できるようになるのですから。

 

📌BODY CHANCE – アレクサンダー・テクニーク

 

(つづく)

 

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