#337 昭和の本が紹介するダンス上達法

 

#337 昭和の本が紹介するダンス上達法

すでにこのブログで何度か取り上げている「社交ダンスの踊り方」(玉置真吉著/大泉書店/弐百円)。昭和33年(1958年)発行のダンスの本が紹介するダンス上達法を記録として残しておこうと思います。当時のアーサー・マレー(Arthur Muray)氏のアドバイスの中に、今なお役立つものを発見することでしょう。(ほぼ原文のまま)

 

ダンス上達法

ダンスが上手になるには、一回でも多く踊ることは必要にちがいありませんが、ただむやみ数多く踊るのは却って悪いくせがつく心配もあります。ダンスに上達するには、 

よく見ること パーティなどで自然に、美しく、悠々と踊っている人を見たら、その人の形、ステップ、リードの方法などをよく観察して参考にすること。

よく学ぶこと 常に良い師について学ぶことを怠ってばなりません。半世紀前一世を風靡したオペラの大歌手カルーソーの舞台裏には毎夜スコアを持ったコーチヤがいて、常に助言を与えました,彼の成功は,本人の良い素質の上にこのような助言者がいて始めて成功することができたのです。

よく踊ること よく見、よく学ぶことのほかに、一回でも多く踊ることが大切です。それも、ただ無暗に回数をよけいに踊るということでなく, 一曲一曲よく反省して,婦人に無理なことを強要しなかったか、自分のバランスは良かったかどうかと自己批判しながら踊るのです。

 次にアメリカの大教授、アーサ・マレイArthur Murray氏の注意を記して見ます。

1 全身はいつも空中を漂う気持で踊りなさい。

2 空中で踊り、床に落ちないこと。

3 腰から上を左右に傾けてはいけません。

4 頭と肩を上に保つこと。

5 深いディップ(腰を折り全身を低くすること)、そっけない仕打ち、急なモーションは婦人を困らせるから止めなければなりません。

6 トーであまり高く立ち上ると、目立つし,緊張して宜しくありません。

7 いつも自然に踊りなさい。

8 膝は平生歩行のときするより以上に曲げてはなりません。

9 両足は離しっぱなしにしてはいけない。離してもすぐブラシユすることを忘れぬこと。

10 手をポムプのように上下に振ったり,肘をブルブル振って、拍子をとってはなりません。

11 足が床を引きずったり、すべったり、固着したり、こすったりしてはいけません。

12 婦人は右手で男子の左腕に重さをかけてはいけない。重さをかけると男子のリードを不自由にするし,自分の体重も却って床に吸つけられます。

13 婦人は男子のリードのない前に勝手に足を動かしてはならぬ。男子のリードがあって始めて足を動かすのか正常であります。

14 陰気にしてはならない。ダンスは本来喜びの表現であります。もしその会が面白くなかったら、人に気付かれぬように家に帰れば、他人に不快な思いをさせなくてすみます。

15 男女とも腰を後へ引いて踊ってばなりません。この形はもっとも醜く、相手に重さを感じさせ不愉快にしまず。

16 男子は左手で婦人の右手を強く握ってばなりません。婦人は逃げ出したくなります。

17 婦人の手をやりっぱなしにして、空の仙女のように両手をひろげさせると、婦人をつまずかせたり転ばしたりします。不確実なホールドは決して彼女を羽毛のような軽さで踊らさせることではありません。

18 自分のパートナ乃至妻とは,最初の一ステージを踊り、他のステージは他の婦人と踊り、最後のステージでまた自分のパートナと踊るようにしなければなりません。

19 パートナの欠点を気にかけないように、それよりも、この相手をいかに楽しく踊らせるかの工夫をし、興味をもってリードしなげればなりません。あなたは永久にダンスの学生なのです。

20 音楽のメロディを口ずさんだり、口笛を吹いたりしてはいけません。伴奏音楽はオーケストラに任せ、あなたはただ、いかにしてパートナを楽しく踊らせるかと工夫すればよいのです。

21 身体を硬直にするな。ダンスは軽く、優美な技術であって、自由と安易な動きの権化でありますから。しかし,初心のうちは堅くなったり,はにかんだりして、自分の力量の全部を発揮し得ないものであります。しかし、ダンスは平静な気持で、全力を尽すようにすれば、おいおい上達します。

22 ダンスを学ぶことによって、あなたは自信を得、ラクに自信を持って踊れるようになります。それにはステップについての知識と動きを完全にすることを心がけなさい。そうすると堅かったあなたの筋肉は柔らかになり、ラクに動き、優美に動くようになります。

23 ダンスをはじめて踊るときは誰でもすこしは堅くなりがちですが、それをあまり気にしてはいけません。回を重ねるごとに,だんだん柔かに、自由に動くようになります。それはステップとその動きをよく知ることが肝要なのです。

24 優美に確実に動くこと、これがダンスのすべてであります。

25 ダンスは機会あるごとに、なるべく回数を多く踊り、なるべくいろいろなパートナと多く踊りなさい。そうすると、筋肉は自由になり、円滑に踊れるようになります。

 これが、気楽に、優美に、疲れないで踊るようになる奥義です。

 

 

日本ダンス界先人の溢れるばかりの情熱が感じられます。

 

ハッピー・ダンシング! 

 

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