#350 私とダンスとアレクサンダー・テクニークと(その11.自分に親切・寛容になりましょう)

 

#350 私とダンスとアレクサンダー・テクニークと
(その11.自分に親切・寛容になりましょう)

私たち夫婦は目黒のボディ・チャンスに週1のペースで通い続けていました。グループ・レッスンにはグループならではの魅力と利点がありますが、私たちの場合、時間的なことから個人レッスンをお願いしていましたので、目いっぱい自分たちを観察することができました。

勿論ジェレミーさんの記事内容の実験・検証も忘れませんでした。何分、主目的は「アレクサンダー・テクニークはダンスに役立つか」、すなわち、「アレクサンダー・テクニークは読者に役立つか」だったのですから。

 

余談ですが前回記事(#349 私とダンスとアレクサンダー・テクニークと(その10.自分を世界の中心に置く) )のチェックリスト「6.踊りの最中、体の中に凝りや痛みがにじみ出る」で、ある人のことを思い出しました。それは、私たち夫婦のサークル活動初期の頃に入ってきた一人の若い女性のことです。

彼女はモデルさんの様に美しく身長もあったので、たちまちプロの目に留まり、競技会に出ないかと誘われました。彼女はそのことを私たちの所に相談に来ました。私たちは「決断は本人がすべきこと」との考えを伝えましたが、同時に「ダンスの基本を知らない段階から競技会を目指すと無理な形で踊ることになり、体を壊すことになる」との危惧も告げました。結局女性はサークルを辞めてプロと踊り始めました。

それから何年も経ったある日、彼女の母親とばったり会うと、「あれから体を壊して医者に行くと、『このまま続けると子供を産めない体になる』と言われてダンスを辞めました」と教えてくれました。その後の彼女の様子は知りませんが、完全に回復していることを祈るばかりです。

いかにダンスが楽しくても、どれほど競技会が魅力的であっても、体を壊してしまうと大好きなダンスを踊れなくなってしまいます。ジェレミーさんが言うように、自然の設計に反した動きは問題を起こしますから、不調を感じたら、「自分は自分の体にどのような無理を強いているのか」と問いかけることが大切だと思います。

さて、本題のジェレミーさんの記事の続きに入りましょう。

 

ダンス――遥かにうまくなるための秘訣(Dance Wing 53,3回目記事より)

     

     ボディ・チャンスの7つの原理

  1. すべての動きは相互依存の関係にある。
  2. 有害な動きは概ね知らないうちに行われている。
  3. 動きは健康や精神状態に大きな影響を及ぼす。
  4. 頭部の動きは脊椎運動を支配する。
  5. 動きは古い感覚に支配されている。新しい考えで動くことはまれである。
  6. 動きは緊張を減らすことで変わる。増やしてではない。
  7. 私たちの運動感覚は体内で調整される。

 

     7つの古典的な誤り

誤1.悩みの部分のみを考え、全体を見ない。
誤2.困った悩みだというが、実はあなたのベストフレンドです。
誤3.無意識のうちに自然な動きに反している。
誤4.どのように動くかは、何を食べるかと同じくらい重要だということを認識していない。
誤5.原因と勘違いして、症状を直そうとする。
誤6.前より頑張っても得る物が少なく、結果もついてこない。
誤7.「いい感じ」と思ってしていることが、実際には体を害していることに気づいていない。

 

 

 

2.有害な動きは概ね知らないうちに行われている


有害な動きの原因は、例えばステップだけのように、部分に気持ちが囚われ、全体を見失ってしまうからです。そうした人は、今から数週間、次に示す練習法でそうした習慣を正しましょう。

その方法とは、踊りながら

「これをしている間、自分の体全体は何をしているのだろう」、

「総体的に、動きの質はどうだろう」、

「自分自身をプツシユしていないだろうか」、

「自分の体に何かを無理強いさせていないだろうか」と自問することです。

 

かつて、私の先生がこう話してくれたことがあります―― 「生徒達は思ったように体が動かないと文句を言いますが、あなたが指示した通りに体は動いているのです」と。

 

自分の体に語りかけている、その方法に気づくことが大切で、もしかすると、
あなたは自分の体にちょっと意地悪しているかもしれません。

 

自分を叱ると、(体は)イライラしながらも、きちんとしようと無理してしまうのですが、そうすると、ぎすぎすした魅力を欠いた動きになってしまうものなのです。そんなことをしないで、ちょっと別のアプローチをしてご覧なさい。

 

まず、自分自身に対して親切で寛容になりましょう。これだけでも、見ている人をもつと魅了する、綺麗で優雅な踊りになることでしよう。

 

次に、自分の踊りを思うときの、その考え方に注意を払ってみましょう。もしかすると、あなたはいつも体の一部から一部へと狭い範囲の中だけで考えを巡らし、全体との関連に目を向けていないかもしれません。次の方法はそういう人にお薦めします。これは自分を納得させるのに有効な手段で、ダンスに対する全く新しい方法に目を向けてもらうことができると思います。

 

まず、自分の踊りをビデオに撮ります。

次にビデオを見ながら、「自分で気づいていない動きや、意識していなかつた動きをしていないか」自問します(「何を」ではなく「どのように」に注意を払います)。そこで気づいたことを直ちに直そうとする前に、そこには直すべき理由があるということをしっかり認識することが大切なのです。

ダンスの中で随分と知らずに行なわれている(知らずに放置しておけば、数限りない問題を起しかねない)現象に注意を向けるようになることが、この記事の目的なのですから。

汚い踊りと魅力的な踊りの、そうした違いを生む鍵もここにあります。

 

このことに気づき、動き全体に注意を払う練習をしていくと、あなたのダンスは劇的に向上することでしょう。他の人に自分の踊りがどう見えるか意見を求める方法もありますが、気をつけてください。その意見が正しくないかもしれませんから。

 

この方法を数ヶ月試してください。勿論、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けるのがもっとも早く効果的ですが、強い意志があれば一人でできないことはありません。アレクサンダー自身はアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けていないのですから。

自分でやってみようと思う人は、全体に注意を向けるところから始め、それから、自分のしていることに注意を払う、その注意の払い方に意識を向けていってください。

 

次号ではボディ・チャンスの原理の3と4から、自然が人間の動きをどのように纏めているかを見ていくことにしましょう。それを理解することにより、何を踊るかより、どう踊るかの方が遥かに重要―― その考えに至る工程が分かりやすくなることでしょう。

(「ダンス――遥かに上手くなるための秘訣」第3回記事から)

 

 

 


そうそう。以前「今まで目にしたことのない単語が次々と山のように飛び出してきて、あっという間に原稿の前で遭難しそうになりました」と書いたことがありましたが、これを読んで、翻訳がどこまで正しいか不安になった人もいたかと思います(その3.動きの原理を知っていますか?)

この企画を考えたとき、ジェレミーさんの原稿をボディ・チャンス側で翻訳して貰うという考えもありました。ボディ・チャンスの中には英語を完璧に使いこなすバイリンガルな日本人スタッフもいれば、日本語を完璧に使いこなす外人スタッフもいたからです。しかし、追加の翻訳料金を捻出できないこともさることながら、社交ダンスの動きに絡めた話が出た場合は私の方が専門であることから、私が翻訳しようと決断しました。でも私の訳文は、毎回ボディ・チャンスの先生に目を通していただきましたのでご安心ください。私も安心して翻訳に挑戦することができました。😃

 

⬛第3回記事をPDFで!

3回目の記事も興味深くありませんでしたか? Dance Wing Vol. 53に掲載されたこの記事をPDFで通して読むことができます。英語の原文も紹介しています。読まれる方はPDF最後のページから逆読みしてください。English text is also available in PDF attached herewith.

Download (PDF, 1.31MB)

(つづく)

 

📌BODY CHANCE – アレクサンダー・テクニーク

 

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