#357 私とダンスとアレクサンダー・テクニークと(その17.自然が設計した骨格)

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#357 私とダンスとアレクサンダー・テクニークと
(その17.自然が設計した骨格)

今回は私のお喋りなしで(笑)、5回目記事の最後の部分をお届けします。

   ボディ・チャンスの7つの原理
1.すべての動きは相互依存の関係にある。

2.有害な動きは概ね知らないうちに行われている。
3.動きは健康や精神状態に大きな影響を及ぼす。
4.頭部の動きは脊椎運動を支配する。
5.動きは古い感覚に支配されている。新しい考えで動くことはまれである。
6.動きは緊張を減らすことで変わる。増やしてではない。
7.私たちの運動感覚は体内で調整される。

   7つの古典的な誤り
誤1.悩みの部分のみを考え、全体を見ない。

誤2.困った悩みだというが、実はあなたのベストフレンドです。
誤3.無意識のうちに自然な動きに反している。
誤4.どのように動くかは、何を食べるかと同じくらい重要だということを認識していない。
誤5.原因と勘違いして、症状を直そうとする。
誤6.前より頑張っても得る物が少なく、結果もついてこない。
誤7.「いい感じ」と思ってしていることが、実際には体を害していることに気づいていない。

 

 

ダンス――遥かに上手くなるための秘訣(Dance Wing 55,5回目記事より)

 

自然が設計した骨格

私たちの体は二つの骨格から成り立っており、 ひとつは頭部、胸部、背骨からなる軸骨格と、もうひとつは残りの顎部、肩脚骨部、腕部、骨盤、そして脚部から成る付属肢骨格です。(図参照)

 

頭部と背骨の骨格はあらゆる動きの中心をなし、あなたが何をしたいかはここで調整されます。 一方、ダンスで腕や脚を動かすときのように、腕や脚の骨格は実際の動きを司ります。

そのように、動きには前号で “内なるダンス” と書いた協調運動と “動きとして目にすることができる” 動的な動きの二つがあることを知っておくと大変役立つと思います。繰り返しになりますが、協調運動は常に頭部と脊椎の結びつきであり (ボディ・チャンスの原理4)、動的な動きは腕や脚の動きで、タンゴの素早いネック・アクションもこれに含まれます。

協調運動がコアとなり周辺の動的な動きをサポートしていますので、ダンスでのコアは、まっすぐに立つことに相当します。座ったままや寝たままで踊りませんから、パートナーと二人で踊るにはコアがしっかりしていなくてはなりません。ダンスではそのコアを継続的に使いますから、もしそれを頑張らないでできるとしたらすごく便利だと思いませんか?

 

実は、自然界の設計ではそれができるようになっており、疲れを知らない赤い筋肉を動員すればよいのです。でも、「まっすぐ立っていよう」、「背を高く見せよう」、「綺麗なポスチャーを取ろう」としたとき、それは既に、自分に一生懸命働くよう話しかけている訳ですから、当然、白い筋肉が動員され、疲れてしまうことになります。

そこで、心構えを変えることが重要になります。

 

「自分の体が助けてくれるのだ」、「軸骨格やそこにある筋肉が踊っているあなたを支えてくれるのだ」と信じるようにすると、そうした心的態度が筋肉の使われ方に劇的な影響を及ぼすのです。

皆さんは「信じなさい」とか「ダンスに身を任せなさい」と言ったアドバイスを受けたことはありませんか? そうしたアドバイスや思考方法には、あなたが想像する以上の効果があるのです。

 

 

背骨の可動範囲

今回の記事は楽しかった3月のワークショップが元になっています。参加者一人ひとりのレベルと情熱に大変感動しましたが、こんなに熱心で、こんなに楽しみ方をよく知っている人達と一緒に仕ことができるのは滅多にないことです!

 

では締めくくりに、もうひとつ気づいた事をお話ししましょう。それは、皆さんが知っておくべき背骨の運動範囲です。ダンスで女性が後ろに体を反らしたりしますが、そうした動きのことです。

図は背骨の可動範囲を示していますが、中央が真っ直ぐに立った形、左は体を反らしたとき、右は体を縮めたときです。

現実を見てみると、胸椎(肋骨の一番上から一番下までのこと)の後方への可動域は、イラストが示すように非常に限られており、後ろに反ったつもりでもかなり真っ直ぐのままなのです。

つまり、体の反りの殆どは首の部分で行われ、次いで肋骨の一番下と腰椎の一番上のつなぎ目とその下の第5腰椎までで行われています。

これを理解していないと、胸を上げようとした場合、胸付近の背骨を曲げるイメージを持ってしまいます。体はなんとかあなたの希望に応えようとしますが、解剖学的に無理なので、それに近い形にしようとします。つまり、背中の反りの方に腕全体を引く――という形で。

 

腕は体の前で動くようデザインされている

胸部の皮膚と筋肉が引っ張られるので胸を上げたと思うかもしれませんが、それは勘違いに過ぎません。胸は上がっておらず、腕を後ろに引いているだけです。腕は、構造学的に体の前で動くようにデザインされています。

例えば、スタンダードのホールドで腕を後ろに引いてしまうと、腕が持つ素晴らしい動きの質を殺すことになります。ワークショップに参加された皆さんは、「あら、(ホールドを大きくしようと)肘を引いていたけど関係なかったわ」と気づき、その結果、もっと楽に、もっと自由に、自分の身体が遥かにコントロールしやすくなりましたね。きっと、今までにない満足できる踊りになったのではないでしょうか!

再び背骨の可動範囲

写真(下)から、背中の可動域がよくわかると思います。反ったと思っていても、背骨がほとんど真っ直ぐのままであることを知っておくことは、体を使う人には重要なことです。

(「ダンス――遥かに上手くなるための秘訣」第5回記事から)

 

 

 

⬛第5回記事をPDFで!

Dance Wing Vol. 55に掲載されたこの記事をPDFで通して読むことができます。英語の原文も紹介しています。読まれる方はPDF最後のページから逆読みしてください。English text is also available in PDF attached herewith.

 

 

Download (PDF, 1.73MB)

 

(つづく)

📌BODY CHANCE – アレクサンダー・テクニーク

 

 

 

 

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