#407「9.ダンスについて(前半)」

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#407「9.ダンスについて(前半)」

今回は「モダン・ボールルーム・ダンシング」から「9.ダンスについて」を2回に分けてお届けします。とても役に立つ話です。

 

 


9.ダンスについて(前半)
(On Dancing)

世界中においてボールルーム・ダンスは、最も人気ある余暇の過ごし方です。人気の理由は、ダンスがとても楽しく、そして社交性があるからです。

 

標準的なボールルームにおいて、“モダン・ボールルーム・ダンス”という言葉は、多くの場合、フロアの上を進んでいく事を意味します。ほとんどの人たちはダンスを始めると、たちまちレベルアップするので驚くと思います。

 

あなたは、ダンス技術を殆ど知らなくても、フロアの中から楽しそうに音楽にあわせて踊っているカップルや上手な人をすぐに見つけ出す事ができるでしょう。そうした人たちは音楽に合わせて楽に踊っている人たちです。かれらが使っているフィガー数は僅かかも知れませんが、それはベーシック・フィガーといって、いつまでも使え、シンプルですが美しいフィガーです。

 

生まれつきのダンサーは殆どいませんが、少し教わると誰でもお付き合いで踊れるようになりますし、動ける事がとても嬉しく思える事でしょう。

 

今日それ程広い踊れる場所はありませんから、上手な人は早くフロアを一周することより、そこにあるスペースを最大限有効に使おうとします。つまり、色々なテンポ(遅い、中間の、速い)でフォックストロット演奏されるときにはリズム・ダンスが良いと言うことです。フロアにスペースが十分あるときに典型的なフォックストロットを踊りましょう。

 

多くの人にとりワルツはとても楽しい踊りです(スロー・テンポのワルツでも、ヴィニーズ・ワルツでも)。こうした踊りの上級フィガーはスペースを必要としますが、一番簡単なフィガーはどのようなダンスフロアにも対応できます。

 

初心者はタンゴでパニックになる傾向がありますが、音楽はリズムがはっきりしているのでわかりやすいですし、踊りもそれ程難しいものではありません。タンゴの魅惑的な音楽にあわせて踊れるよう、簡単なフィガーを幾つか覚えておきましょう。

 

今述べたことは、イギリスで標準化されたダンスについてですが、ほかにも世界中で人気のラテン・アメリカンのダンスも当然あります。

 

イギリスにはシーケンスやオールド・タイム・ダンスの愛好家が大勢おり、そうした踊りは多くの場合8小節、16小節、あるいは32小節毎に繰り返して踊るため、個々のダンサーがフィガーの組み合わせをその場で考えるボールルーム・ダンスより易しいです。

 

英国スタイルが世界中の上手な教師たちに取り入れられているのは、それが一番優れていると認識されているからです。この本は、あなたが学び始める一歩を踏み出すお手伝いをします。

 

これから出てくる踊りには、初心者に適した踊りを選択していますので、細かな技術はまだ必要ありません。初心者を教えるのに大変有効と実証済みのヒントも加えてあります。各種目の踊りには簡単なフィガーの組み合わせがあり、それは一般に広く使われ、正しい踊り方で、楽しめて、しかも、どのような広さのフロアでもつかえます。そうしたフィガーは上級へ進みたいと考えるビギナーには最適の基礎となりますし、個人レッスンをしている教師の方々にとっても、役に立つと思います。

 

 

基本事項

■ホールド:

各章の初めで正しいホールドについて触れています。

 

■バランス:

最も大切なルールは、前進では足をまっすぐに出すこと。パートナーの足の外側に踏み出そうとしないことです。後退するときも同じように、目に見えない線上を歩くイメージを持ってください。

 

良いバランスは正しく歩く練習から生まれます。例えば道を歩いているとしましょう。足を前方に押し出し、次に体を持って行く - あなたはこういう動きをしていないと思いますが、ダンスでも同じです。あなたの体を運んでいき、そこに足が付いて行くのです。後退でも、後退する足のトウから後ろにステップし、前足を使いながら体重を徐々に後方へ移動させます。次の足に後退するのはその後です。動きをコントロールするとバランスが良くなります。それはダンスが上達するに連れさらに良くなって行きます。歩き方についても各種目で触れています。

 

■頭

多くの人たちは頭の位置の重要性に気づいていません。男女どちらもです。ほとんどの人は下を見る傾向があり、それをすると、カップルとしての外見が悪くなるだけではなく、あるべきバランスを壊してしまいます。なぜなら、頭部は他の体のどの部分よりも重いからです。顔を上げ、顎を自然に保ちましょう。目線をあるべき高さにしておくのも良い考えです。男性の頭は、女性の右肩越しに真っ直ぐ前方を見る所に置き、女性は男性の右肩越しに見るようにします。

 

■ボディ(上体)

硬く見える人、コントロールが効かない人を多く見かけます。硬く見えるのはボディを自然に上げておけば良い所で筋肉を緊張させ、ボディの代わりに肩を上げたり胸を張り出したりしています。逆に、落ちてしまった肩、たるんだ腕、締りのないお腹の筋肉をしているとコントロールが効かないように見えます。両腕両肘は肩を上げずに持ち上げておきます。女性は腕で男性を押し下げたり、つかまったりして男性に依存してはいけません。女性の左手は男性の上腕に軽く置き、指は綺麗に揃えておきます。体全体をコントロールする中心が横隔膜筋にあると考えると良いでしょう。

 

■脚

ボディに関する誤りは脚に関する誤りに通じます。つまり、必要以上に筋肉を緊張させたり、コントロールがきかなかったりすることです。脚は腰から自由に動かします。膝からではありません。どの1歩でも自然に床を捕まえられるリラックスした動きを使います。

 

すべての英国スタイルのダンスでの話ですが、動くスペースがあって両足が一杯に開いたとき、膝が最大限に伸びていますが硬直はさせません。そして移動する足に体重が乗ったときに僅かにリラックスさせます。

 

 

■足

バランスの所で述べましたが、両足は真っ直ぐにします。つま先を外に向けるのは初心者にみられる共通の間違いです。こうした傾向を修正するには、道を歩くときはいつでも正しく歩く練習をしてください。正しく歩けるようになると、かなり上手に踊れるようになるでしょう。ダンスでは前進でも後退でも、足と足がすれ違う感じを試してください。

 

正しい足首の使い方も大切です。前進する足が一杯に開こうとするとき、後ろ足の足首を伸ばし、トウだけが床についているようにします。ボールではありません。そうしてから、前進する足のポジションがきまります。

 

 

■リード

かなり勉強している男性でも、多くの人はパートナーから「私をリードしてくれないわ」と苦情を受けます。男性はフィガーをマスターし、アマルガメーションをマスターしない限りリードに集中できません。そうした事ができるようになって初めて、パートナーが安心してついてきてくれるようなリードができますから、パートナーは次に何がくるか勘を働かさなくて済みます。

 

一方男性は、女性が予想で動いたり、女性に連れて行かれたりするようなことを決して許してはいけません。男性は確固たる決意をもってします。例え、間違っていても、躊躇するより自信を持って動く方が良いのです。間違えても女性は大体ついてきますので、転んだりする事はないでしょう。実際のところ、上手にリードすれば、彼女はあなたの間違えに気づかないかも知れません。

 

次にステップする方向をボディや脚で示しますが、男性は右手も上手に使って女性をリードします(ラテンではしばしば両手のリードがあるので違いますが)。男性がパートナーに基本の形(ほぼ男性の正面に女性が正対する形)のままいて欲しいときは、女性の背中にあてた右手(自然に丸めている)を通して圧力をかけます。女性を男性の外側にステップさせようとするとき、男性は右指に少し圧力をかけて使いますし、女性をプロムナード・ポジション(これは、カップルが扇のように‘V’に開き、男性の右側が女性の左側と接した、あるいは、近くにある形)にリードするときは、右手の付け根部分に圧力をかけます。再び正面に戻すには、男性はやはり指に力をかけて使います。こうした事も、しばらく練習を繰り返していると自然にできるようになるでしょう。

 

 

■音楽

本書で取り上げる種目には、それぞれ異なる拍子、テンポ、リズムの音楽が使われます。ここで、音が取れない初心者に対してちょっとしたアドバイスをしましょう。まず動き出す前に音楽を良く聞くこと。最低1小節、あるいは、それ以上の小節数を自分自身で数えます。ここで急ぐ必要はまったくありません。次に、動き始めようとする足の上を体重が移動するのを確認します。左足から出なければいけないとか、右足からでなければいけないという決まりはありません。男性は動き始める少し前に、出て行かない方の足に体重を乗せてはっきりさせておけば、どちらの足から出るかは重要な事ではありません。

 

音を聞き取れるようになるため、音が取れる人にカウントを取ってもらいましょう。次に、自分自身で声を出してカウントを取り、それが体に馴染み、考えなくても音に合わせてカウントが取れるようになるまで練習してください。音を外し、しかもそれに気づいていないカップルを見かけるのは決して稀なことではありません。そうしたことのないように、耳の訓練をしてください。しばらく練習をすると、自然に音に合うようになるでしょう。

 

 

■ボールルームのエチケット

女性に踊りを誘うのは男性の特権です。男性は丁寧に、次のような言葉で誘いしょう ― 「踊っていただけませんか?」 単に「踊りませんか?」でも良いでしょう。

 

女性は特別な理由がない限り、いつでも喜んで引き受けます。もし女性が、その男性がフロアでのマナーが良くないのを見ていたり、彼にアルコールが入り過ぎていたりした場合には、「いいえ、結構です」と断っても構いませんが、通常、引き受けるのが一般的です。男性があまり上手でなくても、ニコニコして我慢し、彼についていくよう努力をします。数分間休憩を取りたいとかの理由で誘いを断った場合、その時の音楽が終わるまで、他の男性と踊るようなことをしてはいけません。

 

フロアの上では他の人にも気を配りましょう。できる限り他の人たちとぶつからないようにし、それでもぶつかってしまったら、例え自分が悪くなくても謝ります。曲が終わると、パートナーに感謝の気持ちで拍手し、楽団にも感謝の気持ちをこめて拍手をします。そして男性はパートナーに感謝の言葉を述べ、席までエスコートします。

 

男性はフロアの上で一番良く見えるようスーツやこぎれいな略式服装、あるいはディナー・ジャケットを着用します。燕尾服はきわめてフォーマルな場合に使いますが、すべての主要競技会や選手権などで着用します。

 

男性はフロアに出るときはいつでも、忘れずに上着のボタンを留める習慣をつけましょう。

 

女性のセパレート着用は踊りの間、上下に離れてしまうので、ワンピースの方が気持ち良く踊れるでしょう。今日、ロングドレスはほとんどいつでも使われていますし、また、シンプルなカットのドレスが一番魅力的に見えるでしょう。ロングドレスでも踊るには支障ありませんが、もし大きく動くのに窮屈なら、横のシーム部を膝の高さまで切ると良いでしょう。バッグを掴んだ手を男性の背に回して踊ったり、右手でバックを振り回したりしながら踊るようなことは、決してしてはいけません。

 

 

 

*印:「訳者のノート」参照 → #393 「モダン・ボールルーム・ダンシング」から「訳者のノート」

次回は#408「9.ダンスについて(後半)」をお届けします。

 

ハッピー・ダンシング!

 

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