#433 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載1ブルース1

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「おしゃべり」「フィガーの説明とヒント」「質問コーナー」と盛りだくさんの話題を通し、個人レッスンに行かれない人やパートナーがいない人でも上手くなれる近道をこっそり教えちゃいます。月刊誌ダンスファン連載記事(2015~2017年、全35回)の復刻版(加筆、修正あり)。

 

#433 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載1ブルース1

 

プロローグ

おひさしぶりです! 前回の連載記事「サークルで上達する社交ダンス」は2008年7月号が最終回でしたから、7年ぶりの連載復活となります。みなさんもお変わりありませんでしたか?

この間、私たちもいろいろ勉強する機会がありましたので、この新コーナーでは、そうした中で学んだ有益な情報やお喋りをまじえながら、拙書「パーティーはおまかせ」をベースに進めていきたいと思っていますので、よろしくお付き合いください。では、さっそくスタートです。

 

 

★「練習量=上達」とは限らない!

さて、サークルのような団体レッスンの中で個人が上達するにはどうすれば良いでしょう?それを一言で表すと「知識を得る」に尽きます。

一般的に多くの人たちは、上達するにはたくさん練習量が必要と考えていると思いますが、それでも、「あんなに練習しているのに、さほど上達していないなあ」と思える人たちに出会うことはありませんか?

 

そうなのです。現実を見渡せば、たくさん練習しても上達しない人もいれば、さほど練習していなくても上達している人もいるのです。

その違いは何なのでしょう? 

それが、私たちの考える「知識を得る」なのです。練習が必要じゃないということではありません。練習は絶対必要なのですが、適切な知識を得ると、より上達するという意味です。ましてやサークルの中だけで踊っている人たちのように、踊る機会の少ない人が上達するには、踊っていない時に勉強することしか残されていないではありませんか。

 

さあ、上手になりたい人、綺麗に踊りたい人は腹をくくって(笑)一緒に勉強を始めましょう。「何を勉強したらいいか分からない」と心配しなくても大丈夫。この連載で書いて行くことを一つひとつ実行すれば、必ず今の自分を遥かに超える踊りを手に入れることができますから!しかも、そんなに難しいことはやりませんからご安心ください!

 

ということで、最初の勉強は「練習量と上達は比例しない」、そして、「知識は上達を助けてくれる」、この二つをしっかり理解することです ― そう、もう勉強は始まっているのです。

 

 

ブルースが主役に躍り出るとき

感動するブルース

ホテルのパーティーなどでスロー・フォックストロットの曲がかかると、優雅にスローを踊りたくなりますが、フロアは混雑していてそれどころじゃないことが多々あります。そうしたときに颯爽と主役に ― 決して脇役ではありません ― 躍り出るのがブルースです。

毎年10月にロンドンで開催されるインターナショナル選手権決勝の舞台、ロイヤル・アルバート・ホールでは芋の子を洗うようなギューギュー詰めのジェネラル・ダンスのシーン(写真)が繰り広げられますが、見ていても踊っていても、なんとも言えないいい感じがします。ある意味、本来の社交ダンスの姿を見ているようで、競技会より感動さえ覚えるのは、趣味で踊る私たちだけではない気がします。

そこで、第一章は自分が楽しみ、そして、見ている者に感動さえ与えるブルースを取り上げ、狭い空間の中を自由に軽快に踊れるようにご案内しつつ、ボールルーム・ダンスが全般的に上達する秘訣をアドバイスしましょう。

 

 

 

第一章 ブルースが上手くなっちゃってごめんなさい 

 

その1.クオーター・ターンズとその応用

既に殆どの人は、クオーター・ターンズをご存知と思いますが、念のため次ページに足型図を用意しましたので、それをみながらシャドーしてみてください。(※図中の数字は歩数、(S)や(Q)はカウント、そして黒丸は最初に床に付く足の部位を表わしています)。

問題なく踊れましたか? 

では、ブルースが上手くなっちゃう秘訣をお話ししましょう。

 

 

両足を閉じる。つま先を揃える! 足に裏切られた私?

2000年の夏のことです。サークルのパーティーにマーカス&カレン・ヒルトンMBEをお招きし、デモの前にワルツのワンポイントアドバイスをお願いしたことがあります。すると、マーカスさんから出たアドバイスは「両足をまっすぐ揃える」でした。

 

🔴その時の映像のひとつを紹介します!

 

そして、参加者の何人かが、「つま先を揃えましょう」とマーカスさんに直される光景を微笑ましい気持ちで見ながら、私はこんなことを考えていました ― 「あ~あ。ワンポイントアドバイスに別途お支払したのに、こんな分かり切ったことかぁ…。経験者にも役に立つアドバイスが欲しかったなぁ」。

ところが、ふと自分の足元を見て私はひっくり返るくらい驚いたのです! なんと、きちんと揃えている筈なのに、右つま先が少し外を向いているではありませんか!

「こ、この裏切り者!」と思ったわけではありませんが、あわてて誰にも見られないように足を揃えたのは言うまでもありません。

 

しかし、考えてみれば世界チャンピオンが、「これが大事」と教えて下さるのですから、それがどんなことであろうと、それだけ重要なことであり、かつ、それだけ多くの人ができていないからなんですね。大いに自分を恥じた私は、それ以来、自分の感覚は信用せず、目で確認するようにしています。

皆さんまで巻き込むつもりはありませんが、一般的に感覚とは、それほど当てにならないものなのも事実です。

 

 

  【実験1】

そこで実験です。あなたも参加してください。

①立って、両目を閉じます。

②目を閉じたまま、両足のつま先を揃えます。

③目を開けてつま先が揃っているかどうか、チェックします。

 

いかがでしたか? 揃っていたらOK。揃っていなかったら、もう一度クオーター・ターンズを踊り、スタートと3歩目と7歩目で目視確認をして下さい。

 

 

 

前進では、トウを進行方向へ向けよ!

先のような冷や汗が出るような実体験があったので、書籍「パーティーはおまかせ」にこのようなコラムを書きました。

 

感覚と視覚どっちが強い?

自分の足をチェックするときの話です ― ダンスでは、基本的に前進の足は「トウを進行方向に向けてまっすぐ」出します。とても簡単なことのように思えますが、意外と外向きに歩く人がいます。

「できてるはず」と感覚的に思うのではなく、男性は1歩目、女性は4歩目で、目で見てチェックしましょう。びっくりする人もいるいかも?スクエアに組んでいると、「相手の足を踏んではいけない」と思って、すこし開き気味にステップしたくなりますが、それが自滅を招く原因になります。第一、美しいボールルームに蟹股は似合わないじゃありませんか。そこで「相手の足を踏んじゃえ!」位の思い切った気持ちでステップしましょう。つまり、「トウを進行方向に向けて真っすぐ出す」のです。そしてこれは、「両足を閉じたときにはつま先を揃える」ようにしていると、案外問題なくできます。

 

 

本当にこんなことでダンスが上手くなっちゃうのでしょうか? 信じられないでしょうが、この二つができると、

  • 思った方向へ進むことができ、
  • 思った通りの回転量が得られる可能性が高まり、
  • そうなると、思った通りの距離と方向で終わることができます。

これは上手な踊りの必須条件です。どこに向かって踊って行くのか、その時任せみたいになってはダメなんです。

 

 

前進のステップはヒールから!

えええー! 何でそんな当たり前のこと!」って思ってしまいますよね。分かります、分かります。でもね、本人はヒールから出ているつもりなんでしょうが、実はトウから出ている人が山ほどいるんです。山ほど! 

しかし、ヒールで出るべき所をトウで出てしまうと、動きが全く変わってしまうのです。どう変わるか、それを実験してみましょう。

 

 

 

 

【実験2】

シャドーでも、近くの人と組んで踊っても構いません。クオーター・ターンズを使ってやってみてください。

1.最初は前進のステップを意識して全部トウで出てみる。

2.今度は前進の所は意識してヒールで出てみる。

 

 

 

さあ、どんな違いを感じましたか?

トウで出ると、動きが詰まり、反対にヒールから出ると、動きに躍動感を感じませんでしたか? 

そうなんです。ヒールからステップすると、ヒールからトウに抜けて行く前進運動が自然に起きますが、トウでステップすると、ヒールの方に動きが戻ってきてしまうので、前進運動が損なわれてしまうのです。

サークルで上達するには、こうした動きの理屈を知ることが大切です。理屈が分かれば実行できますからね。

 

話は少し戻りますが、ブルースは混んでいる時に踊りますから、厳密に言うと前進をヒールから出てもトウから出ても構いませんが、いまの段階でヒールから出られるようにしておくと、ワルツやタンゴになってもフットワークの間違いが少なくなります。また、前進をヒールから出られるようにしておくと、混雑に合わせていつでもトウから出られますが、トウで出る癖をつけてしまうと、ワルツやタンゴで正しいフットワークが使えなくなる可能性が大きくなります。ワルツもタンゴもスローも綺麗に大きく踊りたいのですから、それはちょっと嫌ですよね。

 

 

★回転が入るステップと閉じる足はトウから!

以上の話が理解して貰えたら、もう一度足型図を見て、前進のステップはヒールから踊りながら、更にもう二つ(笑)やってください。それは ―

・ボディの回転が加わる2歩目と6歩目はトウからステップします。

・そして揃える3歩目と7歩目の足もトウから丁寧に床に着きます。

こうした所をヒールからステップすると動きも汚く見えます。

 

さて、以上に述べてきたような足の使い方ができると、ムーブメントがナチュラルになりますし、その上、足さばきが綺麗になります。実は、ナチュラルな動きと綺麗な足さばきは密接に関係しているのです。

 

 

◇ ◇ ◇

エキスパートたちは綺麗な足さばきを楽しみますが、レベルが低くなるにつれ、足の重要性を忘れる傾向にあります。 

(「熱心なダンサーに贈る読むダンス用語集」フットワークの項より抜粋)

  ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

クオーター・ターンズに変化をつけるには?

覚えておいてください。実際に踊るときには、
教わったフィガーを、そっくりそのまま踊る必要はありません!」。

 

例えばこのクオーター・ターンズを踊るとき、足の出し方やフットワークなどは、きちんと守るのがベストですが、1~8歩目までをセットで踊らなくても全然構いません。つまり、応用すればよいわけです。

そこで男性は、フロアの状況を見ながら臨機応変に次のようなことをして、変化をつけてみましょう。

 

1.ウォークを増やす。

2.サイド・シャッセを増やす。

3.チェック・アクションを入れる。

さて、どこで何ができるでしょうか、考えておいてください。次回は別のフィガーを取り上げながらも、こうした応用編のお話をしましょう。

 

 

 

もっと詳しく!(Q&A)

(※読者専用フロアでお答えしたことを、もう少し詳しく説明するコーナーです。)

 

質問
スローアウェイ・オーバースウェイを滑らかに踊るコツを知りたいです。(富山県 女性)

 

 

回答
1月号
で「滑らかにできない原因の多くは、右足を出す時、既にスローアウェイの最後の形を目指していること」と書きました。これはどういうことでしょう?

女性がスローアウェイの動きを察知して、積極的にスローアウェイをしようとしながら右足前進していくと、体のねじれが起き、右足は男性の左足近くに寄り過ぎてしまいます。すると、右足に立てないので、左脚の方にウエイトが取られ、右脚を軸にしたスローアウェイに入る滑らかな回転ができなくなります。

 

スローアウェイに入る直前の形からは、男性にはヒンジやハイ・ホバー、あるいはオーバースウェイなど他の選択肢がありますし、例えスローアウェイでも、カウントに変化をつけることも考えられます。確実なリードを受けるまで、自分からは何もせず、「素直に右足を出して真っすぐ乗ることだけ」を考えているのが上手なフォローになるのです。

また、スローアウェイの左足が投げ出される形は左足が作るのではなく、軸足の右足が作ります。そのためには「左脚部の力を抜いておく」必要があります。

 

(ダンスファン2015年2月号。連載1ブルース1おわり)

 

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