#434 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載2ブルース2

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「おしゃべり」「フィガーの説明とヒント」「質問コーナー」と盛りだくさんの話題を通し、個人レッスンに行かれない人やパートナーがいない人でも上手くなれる近道をこっそり教えちゃいます。月刊誌ダンスファン連載記事(2015~2017年、全35回)の復刻版(加筆、修正あり)。

 

#434 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載2
ブルース2 ナチュラル・ターンとその応用

 

皆さんこんにちは! 前回の記事は楽しんでいただけましたか? さっそく前回の内容をおさらいしておきましょう。こんなお話をしましたね。

 

  • 練習量と上達は必ずしも比例しない。
  • 知識は上達を助けてくれる。
  • 前進ではトウを進行方向に向けて真っすぐ出す。
  • 両足を閉じるときはつま先を揃える。
  • 回転が入るステップと閉じる足はトウから。
  • 「できてるはず」と思うのではなく、目で見てチェック。
  • エキスパートたちは綺麗な足さばきを楽しみ、レベルが低くなるにつれ、足の重要性を忘れる傾向にある。

 

前進では足を真っすぐ出し、足を閉じるときはつま先を揃えてみる。そうした「ちょっとした」ことを実際にやってみると、踊りやすくなったり、動きが大きくなったと感じた人がたくさんいたと思いますが、傍から見ている人からすると、どうしてあなたが上手になったか、不思議でならないでしょう。でもそれは、マジックでも何でもありません。単に理屈にあった動きをしたからに過ぎないのです。

 

 

★クオーター・ターンズの応用!

前回は更にクオーター・ターンズに変化をつける方法として、3つの提案をしました。

1.ウォークを増やす。
2.サイド・シャッセを増やす。
3.チェック・アクションを入れる。

 

では、どこでどうしたらいいのでしょう?  まずは、ここに提案する3つの例を、前号の足型図を参考にしながら繰り返し練習してみてください。

 

提案1.予備歩の次に2歩のウォーク(男性は右足左足、女性は左足右足)を増やす。

提案2.クオーター・ターンズ3歩目の後に2~3歩目を繰り返す。つまり、左へのシャッセを加えます。

提案3.4歩目でチェックし、男性は一度右足(女性は左足)に(S)で戻ってから、再び4歩目以降のステップを続ける。

 

こうしたことをやってみると、「教わったフィガーを、そっくりそのまま踊る必要はない」ということが納得できることでしょう。しかも、いったんこうした応用の仕方が分かると、他のところでもウォークやシャッセ、あるいは、チェックを入れたりできることが分かって来ます。そうなると、もはやあなたは単にクオーター・ターンズを教わった通りに踊る初心者ではなく、クオーター・ターンズを操る名手に変身しているのです!

 

※ちなみに、英語のクオーター(Quarter)は1/4の意味で、このフィガーでは前半と後半で360度の1/4(90度)回転をしていることも覚えておきましょう。こうしたちょっとした知識がダンス人生を豊かにしてくれます。

 

 

その2.ナチュラル・ターンとその応用

クオーター・ターンズの次は順当にナチュラル・ターンに入りましょう。

足型図を見ると、前半にワルツやクイックステップのナチュラル・ターンと同じステップがあり、そこからシャッセに続く8歩構成のフィガーであることが分かりますが、全体を通して右に回転しているのがわかりますか?

この回転する方向は、初心者のうちは意外とわかりにくいので、最初に何が右回転なのかというお話をしましょう。

「前進する人が右回転なら、後退する人は左回転!」と勘違いする人もいますが、回転方向を知るには、頭上からステップを眺めている想像をするのが便利です。前進している人も後退している人も時計回りの右回転しているのがわかります。

 

◇ ◇ ◇

「ナチュラル」は右回転を意味し、前進の1歩目は右足で、右側よりも左側が大きく進みます。後退の1歩目は左足で左側よりも右側の方が大きく進みます。

(「熱心なダンサーに贈る読むダンス用語集」(白夜書房)ナチュラルの項より抜粋)

  ◇ ◇ ◇

 

 

★ナチュラル・ターンで学びたいこと

前回の注意点も守りつつ、ナチュラル・ターンでは次の二つを学びましょう。

1.足がもう一方の足を通過するとき、膝と膝が近くを通る!
2.内回りと外回りは同じ動きではない!

では、一つずつ見ていくことにしましょう。

 

 

 

★足がもう一方の足を通過するとき、膝の近くを膝が通る!

日常生活では、蟹股で歩いたり、足を開いて歩いたりすると汚いので、モデルさんとは言わないまでも、できるだけ真直ぐ綺麗に歩こうとしていると思いますが、ひとたびダンスになりパートナーと組むと、自分の前に相手がいるので、足は真っすぐ出せないとの錯覚に陥ります。

ですが、自分が前進していくと同時に相手の足は後退していきますので、案外真っすぐ出すことが可能なのです。ですから、前号で述べたように、前進するときは両つま先を揃えたところから真っすぐに出していきます。それはナチュラル・ターンの男性の1歩目も、女性の4歩目も同じです。そして、そのときに、「片足がもう一方の足を通過するときは、膝の近くを膝が通る!」のです。

 

具体例を挙げましょう。男性の2歩目左足の膝は1歩目右足の膝を軽く触れるような感じで振り出します。また、女性の2歩目右足の膝は1歩目左足の膝に内側が軽く触れるようにしてから横に振出します。

同様に、男性の5歩目右足の膝は4歩目左足の膝に内側が軽く触れるようにしてから横に振り出しますし、女性の5歩目左足の膝は4歩目右足の膝に内側がタッチするような感じで振り出します。

現実はどうでしょう?サークル内で観察してみると、2歩目を1歩目の外側を振り回すようにステップしている人が多くいませんか?

 

実は前進で「足を振り回す」ようにしている人は、軸足を乗り越していないからで、後退で「足を振り回す」ようにしている人はバック・バランスになっているからです。つまり両者ともにバランスが崩れた状態でステップしているわけですから、当然、当人は「うまく踊れていない」と感じるわけです。

でも、「膝と膝は傍を通る」の知識をポケットに入れて踊ると、そのトラブルを簡単に回避できます。なぜなら「膝と膝が傍を通る」ところは、軸足に真っすぐ乗っているところだからです!

 

膝と膝は傍を通る」 ― この知識は今後ダンスをしていく上でいつまでも役に立つことでしょう。

また、足型図の足と足を結ぶ線は、ほぼその膝の軌跡を示していることも追記しておきます。

 

 

 

★内回りと外回りは同じ動きではない!

【実験】

二人で向き合って両手を繋ぎ、一人がもう一人をぐるぐる回してみましょう。

1回転(360度)して元の位置に戻るまでの2人の動きを観察すると次のことが分かります。

 

 

1.回す人の動きはゆっくりで、回される人の動きは速い。
2.回す人の動く距離は小さく、回される人の動く距離は大きい。
3.二人は動くスピードも距離も違うが、二人共、同じ1回転(360度)している。

※このときの「回す人」は内回りで、「回される人」は外回りの運動をしています。

 

 

👸「もう! 当たり前すぎること言わないで!」と声を上げた人がいたかも知れませんね(笑)。

しかし、この事実は意外と忘れられていて、そのために、踊りを難しくしている場合が多いのです。では、具体的にはどう踊れば良いのでしょう?

 

ナチュラル・ターンの1~3歩目では男性が外回りなので、男性は遠慮せずに出て行きます。一方、女性は内回りの運動なので、ゆっくりと小さな動きをします。

つまり、同じ(SQQ)のカウントで踊っても、内回りの女性は少々ゆっくりカウントを取る感じ ― 極端な言い方をすれば、「1歩目Sをステップしたら、あとは何もしない」くらいの感じで良いのです。

「ゆっくりカウントを取る」とか「あとはなにもしない」などと言うと、女性は「踊りがずれてしまう」と心配するかも知れませんが、男性に合わせる気持ちを持っていれば、全然問題ありません。

 

次はナチュラル・ターンの4~7歩目ですが、男性は左足後退しながら女性に前進を促しますが、内回りになりますので、1~3歩のようなスピード感はありません。ゆったりとした気持ちで、女性が(SQQS)のカウントで踊れることを優先します。内回りでは自分の踊りを優先しません。

一方、前進を促された女性は、先ほどの控えめな感じは忘れ、遠慮せず堂々と右足から出て行きます(勿論、男性のリードの中での話ですが)。それが外回りする人の仕事です。

 

最初の実験からも分かるように、外回りと内回りの人の踊り方は、明らかに違いますし、違わなくてはなりません。ですから、それを考えずに、いつでも同じ調子、同じ勢いで踊っていると相手とずれてしまい、踊りがうまくいかなくなってしまうのです。

 

 

🙋「それは分かったけど、踊っている最中に、いつ内回りで、いつ外回りかなんて、いちいち考えていられない!

― と叫んだ人はいませんか?

 

もっともです。

男性は自分で次に使うフィガーを考えるのでいいですが、それを事前に知ることができない女性は、瞬時に「内回り」と「外回り」を分からなければなりません。

さて、どうしましょう…。

 

実は、瞬時に知る、素晴らしい方法があるのです! それは、これを覚えることです ―

 

前進は外回り、

後退は内回り!

 

 

二人が組んで踊る場合、「前進する」人は外回りで、「後退する」人は内回りをしています。

ですから、「前進=外回り」と思ったら、積極的な動きをし、「後退=内回り」と思ったら、ゆったりした気持ちで踊れば良いのです!

 

これを頭に入れて、これから踊るときに活用してください。 「知識は上達を助ける」とは、こういうことなのです。

 

 

 

★ナチュラル・ターンに変化をつけるには!

ブルースを自在に踊るには「ウォークやシャッセ、あるいはチェックを入れる」と書きましたが、ナチュラル・ターンでもそれができます。足型図を参照しながら次のことをやってみましょう。

 

①ウォークを入れる(A)
3歩目のあとに、男性は左足から(SS)と2歩後退(女性は右足から2歩前進)してから、足型図の4歩目につなげます。

 

②ウォークを入れる(B) 
(A)で追加したウォークを(QQ)のカウントで踊る。

 

③チェックを入れる
7歩目に入ったら、その場で男性は左足(S)、右足(S)とサイドに体重の入れ替えをし、それから8歩目の左足前進につなげます。女性は逆足になります。

 

④シャッセを入れる(A)
6歩目の次に、男性は右足左足、女性は左足右足と(QQ)のカウントで右へのシャッセを追加してから7歩目につなげます。

 

⑤シャッセを入れる(B)
7歩目の次に、男性は左足右足、女性は右足左足と(QQ)のカウントで左へシャッセしてから8歩目につなげます。

 

こうした練習をしておくと、変化をつけるだけではなく、フロアの混雑状況に応じて即対応できるようになります。💖

 

 

 

 

 

もっと詳しく!(Q&A)

(※読者専用フロアでお答えしたことを、もう少し詳しく説明するコーナーです。)

 

質問
ヒール・ターンのコツを知りたいです。(千葉県 女性)

 

 

回答
2月号で取り上げたこの質問には、

「ヒール・ターンは両足を揃える形での内回りの回転なので、自分で回ろうとすると、外回りの人の動きとずれてしまう可能性があります。

脚部を緩めて相手の前進しようとする動きに合わせながらバックの足を用意し、後は、ヘッド共々、きちんと「バック」する気持ちでヒールを揃えていくと、自然に回転が終わります」

と回答しました。

 

ヒール・ターンでは「1歩目で「トウ・ターン・インする」と教わることがあります。それは正しいのですが、案外失敗するケースが目立ちます。原因は回転軸がねじれて右に倒れてしまうところにあります。

そうした場合には、「右足トウを少し外に向けて(トウ・ターン・アウト)」踊ってみてください。これを試した人のほとんどが「踊りやすくなった!」と感激しています。

これに、「脚部を緩めて」と「バックする気持ちで」が加わると、かなり楽にヒール・ターンができることでしょう。

最後に一言。女性は一人でもヒール・ターンができなくてはなりませんが、二人で踊っているときにヒール・ターンをするかしないかは男性が決めることです。言い換えれば、男性は女性にヒール・ターンをさせる技術が求められます。

 

(ダンスファン2015年3月号。連載2ブルース2おわり)

 

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