#435 ホールドはあなたの踊りの邪魔をする

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社交ダンス情報メディア「おどりびより」にアップされている動画「ホールドは邪魔をする」を更に詳しく書いてみます。

 

#435 ホールドはあなたの踊りの邪魔をする

 

 

 

あなたの知らない真実!

この動画では「あなたの知らない真実!」としてホールドについてお話ししましたが、その、「知らない真実」とは ―― 

 

大きなホールドをすると上手く踊れないことがある ―― です。

 

「本当?」と思うかも知れませんが、これは、私たちサークルレベルだけの話ではなく、「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」を読むと、競技選手やプロの世界にもあるようです。それを紹介します。

 

 

「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」

「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」(原題:The Irvine Legacy /オリバー・ヴェッセル・テルホーン著/神元誠・久子訳 白夜書房)から次の一節を原文と共に紹介します。

 

 

”よく見られる興味深い現象は、プラクティス・ホールドで踊っている時には、色んなステップがうまくできているにも拘らず、普通のホールドになるとうまくいかなくなるケースがあることです。

その一般的な原因は次の通りです。カップルがホールドし、男性の左手と女性の右手が組んだ時、無意識のうちに男性の左サイドが開いてしまうからです。そうなった時、パラレル・ポジションに戻るには、男性は自分の中心を、即ち、少しだけおへそを自分の右手方向へ向けるようにすることです。

その時、男性は自分の右手を使ってはいけません。このようにすることで、ボディのコネクションが調整され、女性は自分のポジションの中で、先程より大きなスペースを得ることができるようになります。”

 

”Quite an interesting phenomenon is often seen: when dancing in practice hold – more of an embrace – many steps work quite well, whilst they often fail to do so in a regular hold. Under normal circumstances this is the reason: when a couple bring the joined hands of the man’s left and the lady’s right hand in position the left side of the man unintentionally opens slightly. There must be an adjustment to regain the parallel position. The man has to turn his centre, the navel, slightly towards his own right hand; he does not turn to the right with his right hand. By doing this correctly the body connection is adjusted and the lady gains more space within her position.”

 

 

 

 

 

 

 

プロや競技選手でもそうなのですから、サークルで踊る私たちは一層気を付けなければなりません。

では、どのように気を付けたらよいでしょうか?

ここに、一つの提案があります。

 

➡最初に、「両腕の力を抜いて比較的小さなホールド(=プラクティス・ホールド)」で踊り、いつもの踊りとどちらが「楽に動けるか」を比較します。

 

➡もし、踊りそのものが「楽」に感じられたなら、それは「小さなホールドにすることで」踊りが楽になったことになります。

 

➡そうしたら次に、その小さなホールドを「そーっと、いつもの大きさに広げます」。

 

➡すると、初めから大きなホールドをした時よりも、柔らかで美しいホールドができます。

 

これは、脳を上手にだますことで、出来るのだと思います。

 

 

 

「腕力」に頼ると「全身の力」が使えなくなる

では、どうして直接大きなホールドをすると踊りが邪魔されるのでしょう? 以前の動画「#05 アレマーナのトラブル解消法 その2.アレマーナを研究する」で次の話を紹介しました。

 

 

「古武術で毎日がラクラク!」(荻野アンナ著/祥伝社黄金文庫)より
「腕力」に頼ると「全身の力」が使えなくなる  (P58)

著者が語る甲野善紀氏の言葉 ―― 

 

”モノを持ったり、動かしたり、にはつい手が出る。

「脳は器用な手や腕をエコヒイキし、手は脳にゴマをする出たがり屋」

と甲野師匠。”

 

 

 

 

出たがり屋の手や腕がつくるホールドの何が問題かというと、肩や肘に力が入るからです。力の入った肩や肘が動きを阻害するのです。

そのとき、腕の前側の筋肉が使わるのも問題です。

 

この問題を回避するには、腕を上げる時は「腕の筋肉だけ」、ライズする時は「足の筋肉だけ」のように、その部位の筋肉だけを使おうとするのではなく、体全体の筋肉を意識をします。体の中の筋肉は繋がり合っているるからです。

そうすると、その部位の筋肉だけで頑張る必要がなくなるので、トータルで「より楽」な働きが出来るようになります。

ひとつの困難な仕事を一人で頑張らないで、より多くの人とやる方が楽にできますが、それと同じ理屈です。

 

 

 

阿波研造氏の言葉

ブログ(「弓と禅」の中の言葉)で紹介した話です。


阿波研造氏の言葉:(稽古の第一段階 ―― 引き分けと呼吸法 P79より)

(オイゲン・ヘリゲル著/魚住孝至訳/角川ソフィア文庫)

 

 

「あなたも同じようにして(=弓を引いて)下さい。その際、弓を射ることは、筋肉を強めるためではないことに注意して下さい。

全身の力を使ってはなりません。ただ両手にだけ仕事をさせるようにして、弦を引くのに、全身の力を使ってはなりません。

 

ただ両手にだけ仕事をさせるようにして、腕と肩の筋肉は、力を抜いたままで、あたかも何も関与していないかのように見ていることを、学ばなければなりません。

このことが出来て初めて、弓を引き、射ることが『精神的に』なる条件のひとつを達成するのです」 

 

「全身の力を使ってはなりません」は、上に書いた「体全体の筋肉を意識をする」と反対に聞こえますが、私は「ただ両手にだけ仕事をさせる」は「両肘に力を入れず、結果的に、全身をリラックスさせた状態で、全身の力を上手に利用することが出来る」と解釈しています。

 

 

 

 

 

「競技選手のように大きなホールドをしてはいけない」とか「サークルで踊るのだから小さなホールドにしましょう」と言うのではありません。

・うまく踊れないと思ったときはホールドを小さくして、対策を考えてみるのは良い考えだと思います。

・無理して作った大きなホールドで崩れて踊るより、小さなホールドで踊る方が洒落ているとも思います。

 

 

「小さなホールドをしてから、そーっと大きくする」。

 

試してみて下さい!

 

ハッピー・ダンシング!

 

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