#437 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載4ブルース4

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「おしゃべり」「フィガーの説明とヒント」「質問コーナー」と盛りだくさんの話題を通し、個人レッスンに行かれない人やパートナーがいない人でも上手くなれる近道をこっそり教えちゃいます。月刊誌ダンスファン連載記事(2015~2017年、全35回)の復刻版(加筆、修正あり)。

 

#437 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載4
ブルース4 ナチュラル・ピボット・ターン

 

 

ナチュラル・ピボット・ターン(Natural Pivot Turn)

 

皆さん、こんにちは! 今月も楽しく勉強して、楽しく踊りましょう!

えっ? 「まだ下手だし、上手になってからじゃないと楽しめない」?

う~ん、その気持ちよくわかる。

よくわかるけど、それって無理だと思うなあ…。

 

 

 

実は、今の自分が一番うまい

「上手じゃないと楽しめない」とか、「上手になってからじゃないと楽しめない」と考える気持ちはわかりますが、ダンスを始めたばかりのころをちょっと思い出してください。

あの頃「あんなふうに踊れたらいいなあ」と思った自分になっていると思いませんか?

ほら、今は信じられないくらい上達しているではありませんか! 数か月前の自分と比べても、いろんなことができるようになっていますし、これからもどんどん、上手になっていきます。

「上手になるには5年かかるから、そうしたら…」と思っているかもしれませんが、5年が過ぎると、きっと「まだ上手になっていないから楽しめない」と思うことでしょう。

当然です。上達すると、さらにその先が見えてくるのですから!

ですから、「上手になったら楽しもう」と思える日は、ある意味、永遠に来ないと思っても間違いありません。自分が考える「上手になった」未来の自分を、今この手に先取りできない限り、何を隠そう、現在の自分が今までの中で一番上手なのです。

さあ、練習を含めて今を楽しんでください。

 

 

さてと、お喋りが終わったところで(笑)、今回は社交ダンス全般に関わる基礎知識の話から入りましょう。

 

 

★一気にやっつけよう、二つの基礎知識!

 

◇ ◇ ◇

僕はどこに行くの?

東京に出てきたころ、友人と待ち合わせの約束をしました。

ところが、そっちの方へ向かったものの、あまりの人の多さに緊張しすぎ、雑踏の中で待ち合わせの場所を思い出せなくなった経験があります。

「僕はどこにいけばいいの?」と誰でもいいから尋ねたい気持ちでした。(涙)。

<関連記事:#249 僕はどこへ行くの?(LODとアラインメントの深い話)   >

◇ ◇ ◇

 

以上は拙書「パーティーはおまかせ」の中のコラムですが、大人になって自分の行き先が分からなるなんて、本当に恥ずかしい経験でしたが、これと似たような風景をフロアの上で見かけることがあるのでこんなコラムを書きました。

 

実は、少々ダンス歴がありそうな男性が、行き当たりばったり的な踊りをして、フロアの中で迷子になっているように見えていることがあります。

では、この本人の意思に反した頼りない踊りになってしまうのはなぜでしょう? 3つの原因が考えられます。

1.LODをしっかり理解していない、
2.ステップ(フィガー)を始める方向と終わる方向(アラインメント)や、その中の1歩毎の向きを理解していない、
  よって、
3.ステップの中の回転量が調節できない。

 

LODとアラインメントは最初に学習しなければならない最低限の基礎知識なのです。

 

世の中には案外、「動ければいいじゃない」みたいな感じでダンスを踊り始める人が多いですが、それは交通ルールを知らないで車を走らせるようなものなのです。そんな車に喜んで乗ってくれる女性はいませんよね。

不必要な事故を起こさないためにも、道に迷うことなく、より美しい踊りをするためにも、今回は一気にLODとアラインメントを覚えてしまいます!

自力で上達するには、決してここを端折ってはいけません。今回これをやっておけば、一生使えますし、これが理解できれば、他のムービング・ダンスも自信を持って踊ることができるようになります。頑張りましょう!

 

 

★LODとは何か?

Line of Danceの略。ダンスで進んで行く反時計回りの方向のことで、単にエル・オー・ディーと言うこともあれば、略せずに、ライン・オブ・ダンスと言うことも多いです。誰かに「LODってなに?」と聞かれたとき、さらっと、「ライン・オブ・ダンスの略ですよ」と答えられたら、ちょっと格好良くありませんか?

それはさておき、ボールルーム、・ダンスでは、特に男性は、常にこの進行方向を意識して踊り、「今はこのLODに沿って踊り、どこでどんなステップを使って次のLODに入るか」を考えます。

 

 

★LODの見つけ方

LODを把握するにはフロアの中を大きな流れが左回りに渦巻いていると想像すると分かりやすいでしょう。そしてフロアのどこにいても、

この場所の渦の流れはどの方向だろう?

と考え、4つの壁に沿った方向の中からひとつを見つけます。それがあなたの踊って行くLODです。コーナーやフロアの中心付近では、二つの方向の流れが激しく混ざり合ってますが、そのときは、自分の使うステップと相談しながら、進みたいLODを選択します。

ひとつのLODから次のLODに変わるとき、そのLODを「新LOD」と呼びます。

実際にフロアに立ち、いろんな場所に移動しながら、LODを見極められるようになるまでしっかり練習してください。

 

 

★アラインメントとは何か?

 

アラインメント(Alignment)とは、体と足の向いている方向を示す用語で、次の8つがあります。

1.LOD
2.壁斜め
3.壁に
4.逆壁斜め
5.逆LOD
6.逆中央斜め
7.中央
8.中央斜め

そして、そのステップで矢印の方向に進むために体が向いているときは「~に面して」、背中が向いているときは「~に背面して」と表現します。

 

 

 

★アラインメントの見つけ方

この8つの方向を見極める、とても便利な方法を紹介しましょう。

1.図の右の男の子のように、自分の進むLODに向いて、左手を真っすぐLODに向けて出し、右手を真横に伸ばしたら、そっちが「」の方向で、両手の中間が「壁斜め」になります。

2.次に左の男の子のように、右手を真っすぐ前に出し、左手を真っすぐ横に伸ばすと、そっちが「中央」になり、両手の中間が「中央斜め」になります。

3.ですから、この男の子が前後に移動すると、「壁」の方向も「中央」の方向も移動することになります。

 

 

つまり、「壁」とか「中央」は固定した場所ではありません。いま立っている場所に常に存在する方向なのです。

さあ、これでLODとアラインメントがわかってきましたね。でも、今回は無理をせず、最も使われる「壁斜め」と「中央斜め」の方向を、そして「面して」と「背面して」の表現だけを覚えてください。

えっ? もし全部覚えてしまったら? それは仕方がないなぁー(笑)。

 

 

LODは大きな渦をイメージせよ。

今回は、最低限の知識として

「壁斜め」と「中央斜め」、

「面して」と「背面して」を覚えます。

必ず覚えます!

 

 

ナチュラル・ピボット・ターン(Natural Pivot Turn)

では今月のステップに入りましょう。基礎知識を身につけたので、より理解しやすくなっていると思います。

今回取り上げるナチュラル・ピボット・ターンはクイックステップで使われているものがブルースに応用されたものです。

 

足型図を見ると、これまでのステップより、少々複雑な動きに見えますが、落ち着いてもう一度じっくり眺めてみましょう。どこか今まで取り上げたステップと同じところがある気がしませんか?

そうです、1~3歩目はナチュラル・ターンの1~3と同じ。
そして、5~7歩目はクオーター・ターンズの1~3と同じですね。

ということは、このステップは4歩目だけ「やっつければ」、踊れるのです!

 

 

お互いのポジショニングと正しいスペースを意識することが大切です。

上半身と下半身はしっかりコネクションを持ち、左足に向けて踊ります。

(「熱心なダンサーに贈る読むダンス用語集」(白夜書房)のピボットの項から抜粋)


 

 

★ナチュラル・ピボット・ターン攻略法

このステップを踊るときは、主に次の点に注意しながら踊りましょう。

 

【女 性】

  • 1歩目は後退、すなわち内回りですから、その足に乗ったら、前回書いたように「何もしない」くらいの感じでほんわりした感じでいれば大丈夫です。頑張らないのがミソ。 
  • 次に体をさばき、骨盤を開いて2歩目右足をLODに向けてポイントし、それから体重を移動します。 
  • このとき、ものすごーく気をつけなければならないのは、1歩目左足はヒールになっていないことです。
    1歩目はトウから床に着くと、次に足裏全体が床に接しますが、それでもヒールを軽く上げられるところにいて、それから2歩目に移動します。ですから、2歩目に体重移動するときは、1歩目左足のトウが床の上を擦って行くだけなのです。これがヒールになったり、ヒールで床を押したくなったりする人はバック

    バランスが原因ですから、1歩目後退の体重移動の仕方を研究しましょう。そしてこの「2歩目に行くとき、1歩目はヒールにならないテクニック」はワルツのナチュラル・ターンやナチュラル・スピン・ターンなどでも使われますから、ブルースの時点でマスターしておきましょう。

     

  • 4歩目は素直に歩いて行きます。必ずヒールから出ていることを確認します。

 

 

【男 性】

  • 4歩目の動きを「ピボット」と言います。英語Pivotの意味は「旋回」。よって、男性はこの4歩目左足を回転軸にするわけですが、軸は垂直でなければぶれてしまいますから、男性は体を捌きながら左足に真っすぐ乗ったところで回転します。 

    しかし、足型図を見ると分かるように、この1歩は90度(1/4) 回転しかありません。ものすごく少ないのです。 

    こんな場合は。単に顔を今見ている方向から次の方向(新LODの壁斜め)に向けながら左足後退すれば、上手くできちゃいます。「回ろう!」と思う必要は全然ありません。 

  • 足裏全体が床に接する瞬間がありますが、バランスがヒールに行くことはありません。 
  • 5歩目の右足は素直にヒールから出られるバランスを探しながら出て行きます。 
  • 次の左足を振り出すとき、左膝が右膝の傍を通る気持ちを忘れないようにします。

 

注意点の中で「体を捌く」という表現を使いました。
これは後退する人は、前進する人が真っすぐ出られるよう体を捌いて道を開けることです。ダンスでは「前進する人は真っすぐ」、そして後退する人は「その道をふさがない」ようにするのが基本なのです。

 

 

さて、攻略法もわかったところで、先程勉強した基礎知識を思い出しながらもう一度足型図を見ると、次のようなことがわかるでしょう。

  • 男性は「壁斜めに面して」立ち、1歩目は「壁斜めに」前進。5歩目は「新LODの壁斜めに」前進。そして、7歩目を揃えたときは「新LODの中央斜めに背面して」終わっている。 
  • 女性は「壁斜めに背面して」立ち、1歩目で「壁斜めに」後退、5歩目は「新LODの壁斜めに」、当然、背面して後退。7歩目は「新LODの中央斜めに面して」終わっている。

ね、素晴らしいでしょ!

 

こうしたことが分かってくると、例えば男性が4歩目のピボットで回転量が多少狂ってしまった場合でも、5~6歩目で回転量を調整し、7歩目で「新LODの中央斜めに背面して終わろう」と考えられるようになるわけです。

このように、いま使おうとしているステップは、どの向きで始め、どの向きで終わらせるのが良いかがわかってくると、途中の回転量の調整に頭が回るようになりますから、先の原因3の「ステップの中の回転量が調節できない」が解消されることになります。

LODとアラインメントの理解はダンスの上達に不可欠な基礎知識ですから、積極的に勉強してください。そして、もっと上手になってしまいましょう!

 

 

 

 

 

 

もっと詳しく!(Q&A)

(※読者専用フロアでお答えしたことを、もう少し詳しく説明するコーナーです。)

 

質問
リーダーの腰が引けて離れることが多々あり、いつも喧嘩になってしまいます。離れずに踊れたらいいなと思っているのですが、アドバイスをお願いします。(石川県 女性)

 

回答
4月号で次のような回答をしました。

「コンタクトはお互いに自分のバランスに立って近寄ったときに自然にできるもので、無理やりするものではありません。このコンタクトが縦ずれ・横ずれしない形で(ポジションにより変化)、フレームやフットワークに注意しながら練習すると良くなると思いますよ。お互い、両腕や手首で相手に負担をかけないようにね。」

 

腰が引ける原因にフットワークの誤りも考えられます。

例えば前進する人が、ヒールから出るべきステップをボールから出てしまうと、前進運動が継続できずに腰が引けます。ワルツのシャッセ・フロム・PPをシャドーしてチェックしましょう。

後退する ①TH~②TH のステップで、2歩目のヒールが床に降りる前に1歩目がヒールになっていないと体が後ろに倒れて相手を引っ張ってしまいます。すると、相手は防御策として腰を引くことがあります。これはライズ&フォールのないブルースを踊ると、正しく後退ができているかどうか、はっきりわかります。

今日1時間言い合いしながら練習するよりも、このように、なぜそうなるかを考える共同作業に20分でも費やすのが、明日の上達につながる一番の近道です。

 

(ダンスファン2015年5月号。連載4ブルース4おわり)

 

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