#440 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載7ワルツ1

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「おしゃべり」「フィガーの説明とヒント」「質問コーナー」と盛りだくさんの話題を通し、個人レッスンに行かれない人やパートナーがいない人でも上手くなれる近道をこっそり教えちゃいます。月刊誌ダンスファン連載記事(2015~2017年、全35回)の復刻版(加筆、修正あり)。

 

#440 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載7
ワルツ1 やっぱりここから始めよう

 

 

ワルツが上手くなっちゃって、ごめんなさい!

 

皆さん、こんにちは! 楽しくサークル活動していますか? さあ、今回からはワルツです!

ここでも拙書「パーティーはおまかせ」をベースに話を進めていきますが、ブルース同様に基本をしっかり押さえつつ、グンと上手くなっちゃうための、ちょっとしたヒントやテクニックをお話ししていきますので、よろしくお付き合いください。

 

「ダンスはワルツに始まりワルツに終る」とも言われるほど、人気の高い踊りです。ゆったりとした音楽の中で、波のようなライズ&フォールがあり、ブルースよりも踊り方が複雑になります。

皆さんがワルツらしいワルツを踊るためには、少し細かな説明も必要になりますから、どうしても、それなりの専門用語が必要になってきます。それも一緒に勉強しながら進めていきましょう。

 

ライズ&フォール(Rise and Fall):動きの中で、下半身によって作りだされる頭の上下運動と捉えると良いでしょう。上昇運動に対しては「ライズ」、下降運動に対してはフォールではなく「ロアー」が使われます。

 

 

 

 

ワルツの特徴

基本フィガーに見るように、3歩目や6歩目で両足をきちんと揃えるのは、ワルツの大きな特徴です。テンポの速いヴィニーズ・ワルツと区別する意味で、スロー・ワルツと呼ばれることもあります。

音楽:3/4拍子。単に3拍子とも言います。

基本リズム:(123、123)、(123、456)。

テンポ:ダンス音楽におけるテンポとは、1分間に演奏される小節数(bpm = bars per minute)でダンス独特の表記法です。教師用テキストには30小節と書かれていますが、今日の競技会などではもう少し遅い曲が使われています。音楽CDに表示されているテンポは正しくないこともありますので、確かめるようにしましょう。

 

フィガー(Figure):複数歩で構成されるひとつの踊り(例:クローズド・チェンジ)。ステップとも言います。

 

 

やっぱりここから始めよう!

最初に勉強するアマルガメーションです(下図)。

ここで使われているフィガーは、左足からのクローズド・チェンジ ~ ナチュラル・ターン ~ 右足からのクローズド・チェンジ ~ リバース・ターンの4種類。男性も女性も、この図からフロアの上を動いて行く全体の流れをイメージしておきましょう。実際の踊りで大変役立ちます。

それでは最初のフィガー、クローズド・チェンジの説明に入ります。

 

アマルガメーション:二つ以上のフィガーを組み合わせた一連の動き(Amalgamation)。

 

 

 

甘く見てはいけないクローズド・チェンジ

 

ダンス教本を開くと、ワルツの最初に出てくるのがクローズド・チェンジ(Closed Change)です。男性左足から出る(女性は右足後退)タイプと、男性右足から出る(女性は左足後退)タイプの2種類あります。どちらも3歩構成で、3歩目で足を閉じて(クローズ)体重移動(チェンジ)するところから、この名前が付いたと言われています。

初心者が必ず通過するフィガーで、たった3歩ですから「簡単、簡単!」――と言いたいところですが、経験者にもバランス・コントロールが難しい、なかなかの曲者ですから、私たちと一緒に、心してかかりましょう(笑)。

ステップの説明は男性、女性と別れていますが、この早い段階で、お互いに相手の動きの説明を読む習慣をつけておくと、自分の踊りに役立ちますよ。

 

 

  【男性ステップ】

左足前進の場合:まず右膝を緩めてから ――

1歩目:左足をヒールから出ていき左膝を緩めます。右膝が左膝に寄ります。右足トウは左足より少し後ろにあります。右膝が寄ったところで、ライズが始まります。

2歩目:右足を横より少し前へトウでステップしながらライズを継続していきます。

3歩目:右足トウに上がっているところへ左足トウを揃えます。体重を乗せ換えてから左足のヒールを下ろし、次に左膝を緩め、同時に右足は次のステップの用意をします。右足は左足のロアーに連動しています。

【フットワーク】①HT  ②T ③TH

 

右足前進の場合:左足前進の説明を反対の足で行います。

【フットワーク】①HT  ②T ③TH

 

 

  【女性ステップ】

右足後退の場合:まず左膝を緩めてから――

1歩目:右足を後退し、右膝を緩めます。左膝が右膝に寄ります。左足トウは右足トウを少し越えてたあたりに来ています。ライズが始まります。

2歩目:左足を横より少し後ろへステップしながらライズを継続します。

3歩目:左足トウに上がっているところへ右足トウを揃えます。体重を乗せ換えてから右足のヒールを下ろし、次に右膝を緩め、同時に左足は次のステップの用意をします。左足は右足のロアーに連動しています。

【フットワーク】①TH  ②T ③TH

 

左足後退の場合:右足後退の説明を反対の足で行います。

【フットワーク】①TH  ②T ③TH

 

フットワーク(Footwork):1歩毎の床に対する足の使い方。

 

 

 

膝同士の業務連絡

律儀な人たちはクローズド・チェンジを習うと、1歩目に乗り、次の足をピタリと横にくっつけてから真横に出ようとします。でも、その方法は動きを損ねてしまいます。ブルースでも説明しましたが、「足がもう一方の足を通過するときは、膝が軸足の膝の近くを通る」だけなのです。

次の説明から、足ではなく膝が業務連絡の受け渡しをしていることを、もう一度確認しましょう。

 

 

 

あ~あ、面倒くさいフットワーク!

 

そう思って、ここを読み飛ばそうと思っている人は…いませんよね。だって皆さんは、自力で上達するため、勉強する覚悟ができていますからね。では、もう少し話を聞いてください。

フットワークとは、ダンス団体が独自に創造している物ではなく、「このステップのときはこの足の使い方をすると最もナチュラルな動きになる」、というのを書き出しているに過ぎません。

つまり、示したフットワークを使っていないと、ナチュラルな動きを妨げる、あるいは、ナチュラルな動きになれないということです。私たちが目指しているのは、当然ナチュラルな踊りです。しかも、少ない練習時間で楽して上手になろうというのですから(笑)、フットワークには、充分注意を払いましょう。

また、動きがおかしいと感じたときは、最初にフットワークを確かめる習慣をつけましょう。

今回のクローズド・チェンジ(男女2種類、合計4種類)では出てくるフットワークは3つ。それを解説します。

 

 

 

秘密に値する知識を手に入れる!

 

HT
「ヒール、トウ」と読んで、Hはヒールから出る意味。ここをHから出るためには、その前の足のヒールが降りている必要があります。HTのTは、トウを乗り越すこと。このTには、ライズや回転、あるいは、その両方が起こることを示唆しています。

 


「トウ」と読んで、つま先に上がります。膝は伸びますが伸びきることはありません。

 

TH
「トウ、ヒール」と読み、トウ → ヒールの順に床に足が着きます。このフットワークは女性のクローズド・チェンジ1歩目のように後退のステップと、3歩目のように、前の足がすでにTに上がっていて、次に降りようとするステップに使われます。

 

 

これを知ったらナチュラルな動きに大変身! 

フットワークが面倒なんて思わなくなる!

 

正しいフットワークで踊っているつもりなのに、「どこかぎこちないと感じている」そこのあなたに、ここだけの秘密をお教えしましょう。な~んて、偉そうにね。実は私も踊りながら気をつけていることなんですよ(笑)。

 

その1.HTの秘密

「ヒールからトウを乗り越す」とき、足の裏を「仙骨」が垂直に移動しているのを感じるようにします。そして、それを可能にするのは、軸足の上を通過する膝が、次の動きの切り返しまで前進し続けることです。

私も自分の仙骨を見たことはありませんが(笑)、骨格模型ではこうなっています。仙骨の代わりに、「肛門」を意識するのも良いかもしれません。

 

その2.Tの秘密

いま、トウに上がっている軸足の膝が緩むのは、次に来るTHの足のヒールが降りはじめた瞬間からです。

つまり、それまで軸足の膝は、それまでの伸びた状態を保ちます。そうすると、動きがナチュラルに繋がっていきます。次の足に「移る前」とか「移りながら同時に」ではありません。

 

 

この二つは本当に秘密に値するほど重要ですから、使い方を丁寧に練習しましょう。

そうすると、綺麗なライズ&フォールになりますから、「なんとなくクオリティの高い踊りをしている」感じがしてくることでしょう! ひとたびその感じをつかまえたなら、もう、フットワークは面倒くさいなんて考えは飛んでいき、動きのひとつひとつでフットワークを知りたくなることでしょう。

 

 

 

ライズ&フォールを図にすると、こんな感じ!

 

クローズド・チェンジのライズ&フォールを図式化すると、このようになります。

 

これから分かるように、1歩目をステップし、体重が乗りきった瞬間(カウントのイチの「チ」)からライズが始まり、2歩目、3歩目とライズが継続し、サンの「ン」で、やっとロアーすることが分かります。

こうなるには、どのように自分の動きをコントロールすれば良いか研究しましょう。

 

 

 

 

ライズ&フォールはどこでやる?

先程、フットワークのところでお話ししましたが、綺麗なライズ&フォールを見せるには、一歩一歩の正しいフットワークが第一条件となります。その上で、ライズ&フォールを創り出しているのは、体のどの部分かを考えてみましょう。そうです――

・足指があります!

・足首も関係しています!

・膝もあります!

・それに、股関節も!

 

では、首や肩、あるいは、肘はどうでしょう?

それらはライズ&フォールに関係していませんね。ですから、腰から上はライズ&フォールに関係なく、いつも静かに浮かしておきましょう

そして、足の指、足首、膝、そして股関節の4か所をどう使うか、それをいつも考えるようにしておくと、それは、秘密に値する上達のテクニックに変わっていくことでしょう。

 

今回は「クローズド・チェンジ」しか勉強できませんでしたが、次回までこれを使って、次の練習をしておいてください。男性も女性も――

①左足からのクローズド・チェンジを使い、男性の3歩を踊る ~ 続けて、女性の3歩を踊る。これを数回繰り返す。

②右足からのクローズド・チェンジを使って、①と同じ練習をしましょう。

 

 

 

 

もっと詳しく!(Q&A)

(※読者専用フロアでお答えしたことを、もう少し詳しく説明するコーナーです。)

 

質問:
まだ身体が動くうちにと、サークルのパーティーでジャイブのデモにチャレンジします。音楽の乗りの良さを身体で表現したいです! アドバイスをお願いします。(女性)

 

回答:
家でも音楽を聴き、一人でルーティンを踊れるようにしましょう。その上で、肩甲骨をグニャグニャ踊らす気持ちで練習してみてください。きっと、今までと違う動きに出合う筈です。バランスがヒールの方にどっかり移動しないように、ヘッドを軽く保ちましょう。

 

「肩甲骨をグニャグニャさせる」と聞くと、「なんだ、それは?」と思うかも知れませんが、ラテンに限らずスタンダードでも、とてもお勧めできる練習法のひとつです。

では、肩甲骨をどのように動かせばよいのでしょう? やり方が気になりますよね?

実は、テキトーでOK! 「でたらめでいいんだ!」と思って構いません。でも、肩ではありませんよ、肩甲骨です。

 

それでは実際にジャイブでもワルツでも何でも、肩甲骨をでたらめに動かしてステップを踏んでみましょう。
すると、「あれれ??」

でたらめに動かしたのに、ステップから外れた動きになりません! 

 

ねっ、すごいでしょ!

これが実感できたなら、踊りの中で積極的に肩甲骨を意識してみましょう。
実は、背中を綺麗な一枚にしようとして肩甲骨を固めると、動きも限定されるのです。

 

では次回まで、ハッピー・ダンシング!

 

(ダンスファン2015年8月号。連載7ワルツ1おわり)

 

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