#445「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載10ワルツ4

Spread the love

 

「おしゃべり」「フィガーの説明とヒント」「質問コーナー」と盛りだくさんの話題を通し、個人レッスンに行かれない人やパートナーがいない人でも上手くなれる近道をこっそり教えちゃいます。月刊誌ダンスファン連載記事(2015~2017年、全35回)の復刻版(加筆、修正あり)。

 

#445「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載10
ワルツ4 ナチュラル・スピン・ターン(アンダーターン)
(Natural Spin Turn / Underturn)

 

 

 

ワルツが上手くなっちゃって、ごめんなさい!

 

皆さん、こんにちは! 暑さに負けず踊っていますか? 

踊っていて「すごく上手になったね」、「動きが軽くなったね」と褒められる人が増えていると思います。褒められると、やる気が更に起きますから、今月も動きの原理を勉強して、もっと褒められるようになってしまいましょう。

同時に、お友達の上手になったところを見つけ、それを伝えるようにもしましょう。人の悪いところはすぐ気づくのに、良いところは、努力しないと案外見つかりません。不思議なものです。しかし、「良いところを見つけよう」としていると、ダンスに対する「目」が養われます。褒められた友達は喜び、あなたの眼力が養われ、一石二鳥なのです。

 

前回はシャッセ・フロム・PPまで進みましたので、今回は、そこからつなげられるナチュラル・スピン・ターンを勉強しつつ、プラス・アルファの話題に触れていこうと思います。まずは、ステップの説明です。

 

 

 

ナチュラル・スピン・ターン(アンダーターン)
(Natural Spin Turn / Underturn)

 

このフィガーは単に「スピン・ターン」とも言います。フィガー名に付いている「アンダーターン」は、「回転量を少なくした」の意味で、正規の「ナチュラル・スピン・ターン」より回転量を減らした踊り方をするからです。アンダーターンは広くサークルなどで教わる踊り方です。

スピン・ターンは6歩構成のフィガーですが、足型図には後続に良く使われるリバース・ターン後半(4~6歩目)も入れてあります。

 

 

前回のシャッセ・フロム・PPから続けて踊る場合、スピン・ターンの1歩目はアウトサイドになりますが、この足型図は基本形のイン・ラインで描いています。ですから、まずこのフィガーの基本の踊り方を覚えてからアウトサイドに踊る形を練習してください。

 

このイン・ラインで踊るとき、予備歩を使う場合、男性は右足フラットのまま、左足をヒールから出てから1歩目に入ります。予備歩を使わない場合、男性は左足フラットのまま、1歩目右足をヒールから出ていきます。この、予備歩を使わず「直接入る」形は余り見かけないかも知れませんが、練習しておく価値は十二分にあります。

 

シャッセから続ける場合、男性は1歩目右足をアウトサイド(女性の右外側)にステップします。ここでの注意点には、ブルースのクロス・シャッセと同じことが当てはまります。すなわち、男性の右ヒップが女性の右ヒップの外側になると、二人のシェイプが大きく崩れ、形が汚いだけでなく次の動きに支障をきたします。

「大きく出よう」と思わず、前の左足の上で体を女性の方に少し絞りながら、右足を左足前方に「小さく置きにいく」ことです。鼻は壁斜めに向けておくのも大切なポイントです。

 

女性は右足の上に長くいて、おへそを男性のボディの中心に向けたままにしておくことを意識しましょう。

 

 

 【男 性】

壁斜めに面して始め、逆中央斜めに背面して終わります。

①~③ナチュラル・ターンの3歩を踊りLODに背面します。(HT.T.TH)

④左足後退。左足ボールでピボットし、右へ3/8回転します。右足はCBMPに保ちます。(THT)

⑤中央斜めに面したら、右足前進し、右回転をします。(HT)

⑥左足、横少し後ろ。逆中央斜めに背面して終わります。(TH)

 

 

 気をつけて!

●3歩目で体重が4歩目に倒れがちになってしまいますので、ここでは4歩目を忘れ、体重を床に垂直に下ろすことを考えましょう。

●4歩目のフットワークの(THT)とは、トウからステップし、ヒールが床に軽く着いてから次のステップに出るまでの間にフラットのままの回転があり、改めてトウを使って次のステップに出ていく作業をします。体重がヒールの方にどっかり乗ることはしません。

●5歩目の右足は素直にヒールから出て、それからライズしていきます。この足をトウで出ると、踊りの大きさを失い、かつ、女性のライズするバランスを崩すので、気をつけましょう。

 

 

 

 【女 性】

壁斜めに背面して始め、逆中央斜めに面して終わります。

①~③ナチュラル・ターンの1~3を踊ります。(TH、T、TH)

④右足前進。左足を前方に振り出します。(HT)

⑤左足を体に対して後方、少し左に置きますが、むしろ左足に乗ったときにこの形になっていると言えるでしょう。更に、左足の上で逆中央斜めに面するまで右回転を続けます。(T)

⑥右足を左足に軽くブラッシュしてから、斜め前にステップします。(TH)

 

 

 気をつけて!

●4歩目のフットワークはHTですからヒールから前進し、トウの上を乗り越えていきます。そこから左足に移り、6のトウが着くまでライズしていきます。

 

 

 

逆中央斜めとは?

6歩目を終えたとき、男性は逆中央斜めに背面し、女性は面しています。この表現により、踊り手が同じLOD上に進んでいこうとしていることが分かります。

なぜなら、もしここで進行方向を新LOD(足型図の右から左方向)に変える場合、この「逆中央斜め」は「新LODの中央斜め」に、そして、リバース・ターン4~6の終える方向は「中央斜め」から「新LODの壁斜め」になるからです。

こうした、ちょっとしたことも理解しておきましょう。少し不安になった人は5月号を引っ張り出し、もう一度「アラインメントの見つけ方」を読みましょう。特に男性には必須事項です。

 

 

 

 

スピン・ターン完全攻略法!!

 

★難しくしている原因

 

私たちが思いつくスピン・ターンを難しくしている原因を挙げてみましょう。

原因1.フィガーを通して男女とも左を向き過ぎている。

原因2.フィガーを通して男女ともにフットワークの誤りが多い。特に、女性の4歩目をトウで出る人が多いし、男性は5歩目をトウで出て急激なライズをしている。

原因3. 4歩目で沈み過ぎている。

原因4.男女とも5歩目に乗り切る前に6歩目に行こうとしている。

 

 

 

★攻略するための理屈を覚えましょう。

 

1⃣ 左を向く危険!

男女とも顔を左に向けたくなるのは、自分が抱くダンスのイメージの中に、プロの上手な人たちが左を向いているイメージが強く残っているからではないでしょうか。

その気持ちは分かりますが、そこには大きな危険が潜んでいます。なぜなら、左を向こうとすればするほど、左サイドが開こうとする力、すなわち左回転の力が働き、それが右回転を阻害するからです。

 

頭では右回転のナチュラル・スピン・ターンを上手に踊りたいと思っていても、顔と体が反対のことをしたがっているのですから、あなたに残されるのは、次の二者択一しかありません。

1.左を向きたいから、上手くできなくても仕方ない。

2.左を向くのを諦めて、上手に踊る。

 

どちらを選びますか? ちょっと意地悪でしたね(笑)。

顔は左を向こうとし過ぎない方が賢明なのですが、「みんなやっているし、自分もやりたい!」と主張する人は、次のルールを守ったら、良いことにしましょう(笑)。

 

ボディの中心を相手に向けたままなら、いくらでも左を向いても良い。
 
 

「左を向きたい」を例えれば、話し相手に完全にそっぽを向くようなものです。でも、このルールは、ちょっと横を向いているものの、「話を聞きたい」とする気持ちがありありです。全然違うでしょ?

 

 

2⃣ 顔の向きだけでできてしまう!

男性4歩目の回転量は3/8、すなわち、1/8は45度ですから、その3倍の135度です。しかし、男性に吉報です! 

そこそこあるように思われるこの回転量ですが、実は、「回転しなきゃ!」と頑張る必要はありません。頑張らなくても、3歩目終了時の顔の向き(逆LODに向いている)を、次の方向(中央斜め)に向けるつもりで4歩目左足に後退すれば、はい、おしまい。

左足での回転より、顔の向きを意識して踊りましょう。必ず上手くいきます。

 

 

3⃣ ブラッシュは脚部の力を抜く!

女性6歩目のブラッシュでは、単に右足を左足に寄せるという、足だけの意識的な動きではありません。そこを勘違いしていると、腰が折れていようと構わずに「右足ブラッシュ!」してしまうのです。

大切なことは、まず5歩目左足のトウに高く上がること。次に、その左足の上で右脚部の力を、ある意味「だらん」と抜きます。左足トウの上でボディが上がって伸びていると、右足は自然と左足に近寄り、美しいブラッシュができます。

原因4に書きましたが、5歩目の段階で、すでに気持ちが6歩目に向いていると、往々にして右脚部に力が入ってしまいますので、そこも良く観察しましょう。

 

 

スピン・ターン完全攻略法で、

今日から気分爽快!

 

 

 

 

門外不出の練習法、ここに初公開!

 

ワルツでナチュラル・スピン・ターンを征服できれば、本当にシメタものですが、男性のピボットは難しいものです。それを更に困難にしているのが、女性が4歩目右足をトウやボールから出ることです。これをすると、右足の上での前進運動が損なわれるので、男性の回転がしにくくなるのです。

 

そこで女性は、ボランティア精神で男性を助けてあげようと思いましょう。そのボランティアとは、

「3歩目をロアーして股関節を緩め、4歩目は踊ろうとせず、

散歩するような気持ちでヒールから歩いてあげる」

ことです。

 

5歩目のことは「な~んにも」考えず、ボランティア精神で4歩目を普通に歩き出すのです。これで男性は「ものすご~く」助かり、ピボットの成功率が高まります。結果、二人とも楽になれるのです。

 

そして、これを確実にする門外不出の練習法を編み出したので紹介しましょう。

その方法は ―― 組んでスピン・ターンを踊り始め、3歩目でロアーしたなら、

 

男性は後ろに、女性は前に4歩(1・2&3)と歩き、

それからスピン・ターンの4~6に続けます。

 

この追加した4歩では、先に述べたのと同じように、お散歩する気持ちで、あるいは、ブルースを踊る気持ちで普通に歩きます。男性は後退のステップですから、前の足のヒールを通過するよう注意しましょう。

 

この練習をすると、女性は4歩目右足を確実にヒールから出られるようになり、スピン・ターン最大の難関を克服することができます。おまけに、お散歩するような気持ちで歩くと、顔の向きも自然になります。

 

二人が歩けるようになってきたら、男性は予告なしに歩数を2歩(1・23)に減らしてみたりしてみましょう。女性は、いつの場合でも「歩き続ける」と思っていれば踊りは成功します。

この極秘の練習法に、前述の「ボディの中心を相手に向けたまま…」、「顔の向きだけで…」、そして、「ブラッシュで脚部の…」を加えれば、「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」と言いたくなってしまうことでしょう。お試しあれ! 

「門外不出」ですから、当然、誰にも教えてはいけませんが、もう披露しちゃったので、サークルの仲間に教えて、みんなで上手くなっちゃってください。

 

 

 

 

 

もっと詳しく!(Q&A)

(※読者専用フロアでお答えしたことを、もう少し詳しく説明するコーナーです。)

 

質問:
ラテンの手のコネクションが強い(力が入り過ぎ)と言われて悩んでいます。自分なりに力を弱めるとコネクションが外れそうで不安です。女性(大阪府 K・M)

 

回答:
ダンスファン10月号で受けた質問に、こう答えました。

「恋人とそっと指が触れ合っているだけでも、デートで一緒に歩けるではありませんか。それは相手のリードを感じながら、自分のバランスで歩いているからです。危ないときには恋人が手を引いたり止めたりしてくれますから、安心して歩いていてください」。

 

手のコネクションで、二人が「棒の両端を握っているような感覚」でいると、押した(押された)分だけの動きしか起きません。男性がリードを止めたら女性も同時に止まる ―― これでは、お互いの動きに力が入り過ぎてしまいますし、二人の動きの中に「ゆとり」や「遊び」、「揺れ」などを表わすことはできません。

 

それを解消するには、先ほどの「棒」を「コイルばね」に置き換えるのです。そうすると、例えばルンバのオープン・ヒップ・ツイストのカウント2で男性が押した力はいったんコイルの中で圧縮され、それが解き放たれて女性の右足後退に繋がります。

男性が2の終わりでコイルを引き留めますが、女性の後退の動きは続き、女性のヒップが乗り終えるまでコイルは伸び続ける ―― そうイメージして踊ると、伸び縮みするコネクションができてきます。

 

(ダンスファン2015年11月号。連載10ワルツ4おわり)

 

 

ハッピー・ダンシング!

 

Related Post

#409「10.ソシアル・ダンス スローとクイックのリズム」...   #409「10.ソシアル・ダンス スローとクイックのリズム」 今回は「モダン・ボールルーム・ダンシング」から「10.ソシアル・ダンス スローとクイックのリズム」お届けします。実際のフィガーの説明が出て来ます。     ...
#122 ブルースのフィガー 6.ライト・サイド・シャッセ...   #122 ブルースのフィガー 6.ライト・サイド・シャッセ(Right Side Chasse) 中央斜め、または壁斜めに進んで行けるブルースの基本フィガーです。ただ壁斜めに入る場合はLODに逆行するので、他のカップルとぶつからないように注意が必要です。サイドへのステップ...
#276 アービンが遺したもの   アービンが遺したもの アービン・レガシー オリバー・ヴェッセル・テルホーン氏の処女作 "The Irvine Legacy" は2011年10月、邦題「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」として白夜書房から出版されました。 それに先立ち、ダンスファンでは2011年4...
#341 私とダンスとアレクサンダー・テクニークと(その6.良く出来たときは案外変に感じる)...   #341 私とダンスとアレクサンダー・テクニークと (その6.良く出来たときは案外変に感じる)   前回は「原理4.頭部の動きは脊椎運動を支配する」の部分を読み、頭からライズする考え方を紹介しましたが、「これって、ヘッド・リードに通じるのじゃない?」と考え...