#447 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載12ワルツ6

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「おしゃべり」「フィガーの説明とヒント」「質問コーナー」と盛りだくさんの話題を通し、個人レッスンに行かれない人やパートナーがいない人でも上手くなれる近道をこっそり教えちゃいます。月刊誌ダンスファン連載記事(2015~2017年、全35回)の復刻版(加筆、修正あり)。

 

#447 「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載12
ワルツ6 ウィーブ・フロム・PP

 

 

 

ワルツが上手くなっちゃって、ごめんなさい!

皆さん、こんにちは! 

ラグビーのワールドカップ、海外から「ブレイブブロッサムズ」と呼ばれる日本代表チームの活躍に興奮と感動を覚えました。昔はよくTVで試合を見ていたのに、この20年くらいはすっかり遠ざかっていました。それが先日、にわかファンに返り咲いて…(笑)。

南アに逆転勝利、その後もサモア、アメリカを撃破。どのスポーツでも強いとファンも増え、すそ野も広がるものですね。日本チームは「もうエディ監督のもとではやりたくない」と言う程の、ものすごいハードワークをしてきたようです。

かつて日本のダンス界も、世界のトップ・ダンサーを何組も輩出し、世界チャンピオンが誕生した時代がありました。私は幸運にも、そうした方々のお話を直接インタビューなどでお聞きする機会を得たことがありますが、どなたも、信じられない程のハードワークをされていました。ダンスでも、再び世界を驚かす日が来るといいですね。

 

こんな前振りをしたのになんですが、これからお話しすることは「少ない練習時間でいかに上手くなるか」、しかも「楽して上手くなろう」というのですから、「あの前振りはなんだったの?」と言われてしまいそうですね。お許しあれ(笑)!  今月のステップは前回のホバー・トゥ・PPからつなげるウィーブ・フロム・PPです。

 

 

 

ウィーブ・フロム・PP(Weave from PP)

最初にステップの説明を見ていきましょう。

 

  【男 性】

ホバー・トゥ・PPを終え、中央斜めに面して始めます。

①右足トウを中央に向けて、PPで前進。(HT)

②女性をスクエアに戻し、左足トウを中央に向けて前進。(T)

③左足トウで左回転を継続しつつ、右足を横少し後ろにステップし、ロアーしながらヒールが中央斜めに向くようにします。体はLODに背面します。(TH)

④左足を中央斜めに後退し、女性を右外側にリードします。(TH)

⑤女性とイン・ラインに戻りながら右足トウで中央斜めに後退。左回転を始めます。(T)

⑥左足トウを壁斜めに向けて 横少し前にステップ。上体は壁と壁斜めの間にあります。次に女性の右外側に出る用意をします。(TH)

 

 

 

 【女 性】

ホバー・トゥ・PPを終え、逆中央斜めに面して始めます。

①左足、PPで中央方向へ前進します。(HT)

②左回転して男性とスクエアに戻りながら右足を横少し後ろにステップし中央斜めに背面します。(T)

③右足ボールで左回転を継続し、左足トウを中央斜めにステップ。次にアウトサイドに出るため、この左足は体に対し横少し前になります。(TH)

④右足を中央斜め、男性の右外側に前進します。(HT)

⑤左足、中央斜めにステップし、左回転しながらパートナーとイン・ラインに戻ります。(T)

⑥右足、横少し後ろにステップ。次に男性がアウトサイドに出てくる用意をします。(TH)

 

 

 

知ってるだけで上達する攻略法

 

正直、ウィーブ・フロム・PPはかなり厄介なフィガーです。なぜなら、PP → スクエア → アウトサイド → またスクエアと、頻繁に相手とのポジションが変わるからです。しかも、左回転の中で! 

特に1~2歩目のPPからスクエアに戻る所は、経験者でも長い間悩んでいる人が多いのではないでしょうか。でも、こうした厄介なフィガーでも、攻略法があります。

 

 

 

1.「LODに沿って進まない」と思ってみて!

すでに習った人の中には、このフィガーが「LODに沿ってどんどん進む」とイメージしている人が多いようです。

その考えは間違いではありませんが、もし、その踊り方をして「上手く踊れない」と悩んでいる人がいましたら、「1歩目を中央方向に向けて」踊り始めてみてください。たったそれだけで、踊りがうそのように楽になります。

ちなみに、「中央」は物理的な部屋の中央ではなく、「LODに面して、左手方向」が中央になります。ここは大丈夫ですね? 

 

 

入射角がLODに近づくほど、踊りは困難に!

では、「中央方向に出る」メリットは何でしょう? ここに二つの踊り方を並べてみました。回転量も移動距離も全く同じです。

 ①中央方向に出て行く。
 ②中央斜めに出て行く。

 

 

これを見ると、②の方がLODに沿って大きく進んでいます。

このため多くの人は、②の「中央斜め」に踊っていこうとしますが、見過ごしてならないのは、①と同じ回転量で踊れば、図が示すように、確実に変な方向で終わってしまうことです。

そこで、②の方向へ踊った人は2~5歩目あたりで無理やり回転量を増やして調整しようとしますが、その結果、体はねじれ、ホールドが崩れ、踊りがグチャグチャになってしまいます。

 

「そう、そう!」と心当たりのある人は、一度、①の「中央方向」に出るのを試すと無理なく踊れるので、きっと驚かれることでしょう。これで崩れないで踊れるようになると、徐々に「どの程度までなら中央斜め方向に入っても大丈夫」というのが分かってきます。そうなるとしめたものです。そのときの状況に即対応して、ウィーブ・フロム・PPの入る方向を変えることができます。

 

初めてこのフィガーを覚える人は、当然、中央方向に入る踊り方から覚えましょう。

左回転するフィガーでは、中央方向に入れば入るほど、踊りは容易になります。逆に、LODに近い角度で入れば入るほど回転量を増やさなければならなくなり、踊りが崩れます。

 

 

踊る方向に気をつける ―― 

それを知っていること自体が、

あなたの技術力となります。

 

 

 

2.「君はそこにいて」―― 先行フィガーでの処理方法

男性は先行のホバー・トゥ・PPの最後がウィーブ・フロム・PPを①方向へ出て行ける形になっていなくてはなりません。

実験すると分かりますが、いつものように女性をPPにすると、中央斜めに入る形になってしまいます。そこで男性は、ホバー・トゥ・PPの2歩目に上がりながら、こう思ってください。

「君はそこにいて」と。

 

そして、自分が少し開くつもりでPPになりましょう。このように、PPはいつでも女性が開くとは限りません。男性は次の進行方向を考え、①女性をPPにする、②男性がPPになる、③二人でPPになる、の3つから選択して踊りましょう。

 

 

「頑張ること」の考え方を変えよう。

楽に動けるバランスは素晴らしいことなのです!

 

 

 

 

3.驚愕の真実! 「女性は先に行かない」

ウィーブ・フロム・PPの最大の難関は最初の2歩にあると言えるでしょう。1歩目をPPで出た先で、女性とスクエアになる所です。男性も女性も上手く踊れないでいると、こんなアドバイスを受けることがあります ― 「2歩目は女性が先に行って、男性は後から女性を追いかける」。

 

私たちもそんなイメージでやっていた間は、いつまでもトラブル続きでした。そして、長年たったある日、ふと気づいたのです。「女性は先に行けない」と。

本当に女性が先に行ってしまうと、それは男性のボディから離れて行くことを意味します。

それにも拘らずそれをするので、踊りを一層難しくしていたのです。でも、トップ・ダンサーのビデオを見ても、このフィガーの間中、そんな場面はどこにも出てきません。やはり、

 

「女性は先に行かない。ただ男性の右ボディの上で、PPからスクエアに戻るだけ」

――なのです。

 

これに気づいてから、一気に踊りが楽になりました。あなたがもし、ウィーブ・フロム・PPに悩み、かつ、「女性が先に行って…」と思っているようでしたら、この考え方を取り入れてみてください。

 

 

4.やるべきことは ―― 

次の注意点を確かめながら踊ってみると、その先には、確実に楽で美しい踊りが待っていることでしょう。

 

①男女とも、ホバー・トゥ・PP3歩目をトウから出てヒールが床に着いたとき、膝の傍に後ろ脚の膝が寄って来ている。

②男女とも、ウィーブ・フロム・PPの1歩目をヒールから出て体重が乗ったとき、両膝が寄っている。

③1~2歩目に入るまで、男性は内回りなので、静かな気持ちで踊る。特に1歩目右足のヒールを「できるだけ長く床に着けておこう」として見ましょう。

1~2歩目で外回りを踊る女性は、右足トウを内側に向けようとしない。これは、実験すると分かりますが、右足トウを内側に向けて出ると、左回転を起こし過ぎ、かつ、男性より先に回転を完了するため、次のアウトサイドに出る形が崩れてしまいます。

⑤女性は2歩目のトウに上がったら、すぐに内回り回転に切り替わります。つまり、それまでの外回りの勢いを消さなくてはなりません。トウに上がったら、次の出番を待つ気持ちで静かにそこにいるだけで大丈夫です。

 

上の①と②で「両膝を寄せる」と書きました。とても重要ですから、とにかくやってみる価値があります。

 

多くの初心者は後ろの足を、そこに置いたままの所から次のポジションにステップしにいこうとしますが、体の形が図のAであれBであれ、足が後ろにある間、体の動きは後ろ足に影響されるので、軸足の動きが制限されてしまいます。

 

 

 

5.ライズ&フォールの注意点

図はウィーブ・フロム・PPのライズ&フォールを視覚化したものです。矢印は2歩目と3歩目、そして、5歩目と6歩目で両足が開いたとき、一瞬、両足トウの高い位置にいることを示しています。「そこ」にいるかどうか、あるいは、3歩目と6歩目で「へにょ~」と落ちていないか、練習時に、一度止まって確認しましょう。

 

 

 

 

ロアーはどこから?の話

 

前号で「ライズを頭からしてみたら」と書きましたが、今回はロアーについてです。

近くにある紐の端をつまみ、持ち上げてみましょう。まっすぐな紐ができます。

そこから、手を少しずつ下げて行きます。すると、床に着いている端の方からグニャグニャと緩んで行きますが、ロアーの仕方はこれと同じです。つまり、トウに上がっている所からロアーするには、ヒール→足首→膝→股関節の順に緩めてロアーします。

その場で実験してみると、ヒールを下ろすと同時に膝が緩むと「潰れた」動きになるのが観察できます。これは避けたい動きですから、まずヒールだけを下ろす練習をしましょう。

 

ヒールが床に着いた後に、足首 → 膝 → 股関節です。

 

実際には、バランスよく立ち、バランスよくロアーする限り、足首と膝と股関節は同時に作用しています。でも、股関節を緩めるのが苦手な人がいますので、「股関節も緩んでいるか」のチェックをしましょう。

下に下げた紐は下の方がグニャグニャしましたが、その上はまっすぐのままです。そこは、体で言えば骨盤から上の部分。ロアーしても上半身は緩まないことも覚えておきましょう。

 

ロアーでは背中の重みを
フロアに下ろすようにするのです!
(M・ヒルトン)
「熱心なダンサーへ贈る読むダンス用語集」ロアーの項から抜粋

 

 

以上述べてきたような「知識を持ち運び」するだけで、あなたの先には、楽に踊れるウィーブ・フロム・PPが待っていることでしょう。頑張って、いや、「頑張らないで」トライしてみてください。

 

ここで一度ワルツを終え、次回からタンゴの基本の勉強をしましょう。では、また次号で! それまで「知識は持ち運びできる」を実践していてください!

 

 

 

 

もっと詳しく!(Q&A)

(※読者専用フロアでお答えしたことを、もう少し詳しく説明するコーナーです。)

 

質問:
ダンスを始めて数年経っても人見知りが直らず、切実に悩んでいます。よく会う先生のレッスンは慣れても、たまに行くパーティーで初対面の人と話すと緊張しっぱなしです。でも結局、慣れなのでしょうか。(東京都 女性)

 

回答:
人見知りになるのはごく自然のことですから、「あがり症なのでごめんなさい」と先に一言断ると良いでしょう。人に慣れたいと思っているのでしたら、自分が相手の話を聞いてあげていると考えてはどうでしょう? トライ!

* * *

あるときネットの記事を読んでいると、あがるのは、「人前で自分の能力以上のことをやろうとしているから」と書いてありました。

確かにそうです。犬や人参を前であがったりしないのは、その必要がないからなのですね。そうだとすると、自分以上のことを見せようとせず「素のままで良い」と考えるのが役に立つかも知れません。

 

私も初対面の人は苦手ですが、主体を「自分」から「相手」にすり替える手を使っています。つまり、自分は横に置いて、相手の話を引き出すカウンセラー役を演じるつもりになるのです。これは結構効果的でお勧めです。

初対面の人と無理して話さなくて良いなら、無理をしなくて良いと思います。でも、周りの人があなたから「嫌われている」とか「避けられている」と変な誤解をしないよう、表情には気をつけましょう。なんとなく楽しそうな顔をしているといいですよ。

 

(ダンスファン2016年1月号。連載12ワルツ6おわり)

 

ハッピー・ダンシング!

 

 

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