#450「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載15タンゴ3

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「おしゃべり」「フィガーの説明とヒント」「質問コーナー」と盛りだくさんの話題を通し、個人レッスンに行かれない人やパートナーがいない人でも上手くなれる近道をこっそり教えちゃいます。月刊誌ダンスファン連載記事(2015~2017年、全35回)の復刻版(加筆、修正あり)。

 

#450「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載15
タンゴ3 PSS

 

 

 

第3章タンゴが上手くなっちゃって、ごめんなさい!

 

皆さん、こんにちは! 前回のクローズド・プロムナードはいかがでしたか? 

今回はプログレッシブ・サイド・ステップの勉強をしましょう。

 

 

 

 

 

プログレッシブ・サイド・ステップ(Progressive Side Step)

 

プログレッシブ・サイド・ステップはダンステキストに出ている基本フィガーの一つですが、ダンスの経験者でも、案外踊ったこともなければ、この名前すら聞いたことがないという人がいるかもしれません。

では「PSS」ならどうですか? 

 

「それなら聞いたことがある」と言う人や「PSSリバース・ターンを習った!」という人がいるに違いありません。

実は、「プログレッシブ・サイド・ステップ」を略したのが「PSS」なのです。今回は、そのPSSを勉強しますが、初めて習う人は、当然、フルの名称も覚えてしまいましょう。3歩しかありません。

 

 【男 性】 

壁斜めに始め、同じ向きで終わります。まず、右股関節をゆるめてから~

①左足CBMPに前進。(Q)
②右足を横少し後ろにステップします。(Q)
③左足CBMPに前進。(S)

                           
【フットワーク】 ①H ②FのIE(ここでは、「右足全体のインサイド・エッジ」を使って動きにストップをかけてから、足裏全体に体重が乗ります) ③H

 

 

 

 【女 性】

壁斜めに始め、同じ向きで終わります。まず、左股関節をゆるめてから~

①右足CBMPに後退。(Q)
②左足を横少し前にステップします。(Q)
③右足CBMPに後退。(S)

 

【フットワーク】 ①BH ②BのIE~H (ここでは、最初に「左足ボールのインサイド・エッジ」を使って動きにストップをかけてからヒールを下ろし、足裏全体に体重が乗っていきます) ③BH  

 

 

 

インサイド・エッジを使えるようにしよう!

 

フットワークのところで男性・女性の2歩目の足の使い方を詳しく書きましたが、インサイド・エッジを使うには、両膝が締まっている必要があります。つまり、膝を内側に使います。

それって、どんな感じなのでしょう?

 

 

膝を締めるとは?

次の手順で感じてみましょう。

 

①その場で両足を肩幅に開いて立ちます。体重は両方の足裏全体に広がっているのが感じられます。

②そこから体重を足の内側に移動すると、両腿内側の筋肉が使われ、両膝が締まるのが感じられます。これが「膝を締める」感覚です。膝と膝が引き合う感じです。風船を両膝で挟む感じとも表現できます。

③試しに、そこからお尻を後ろに引いてみましょう。両足のインサイド・エッジの感じが弱まります。このことから、単に膝を締めれば良いのではなく、足の上に骨盤が乗っている正しいポスチャーでなければならないことが分かります。

 

インサイド・エッジを使うと、素早く動きを止めることができます。もうお気づきかもしれませんが、この、「素早く止まる」、「突然止まる」、そして、一瞬の「静止状態」がくるのはタンゴの特徴ですから、ステップの勢いが足の外側に流れてしまわないようインサイド・エッジを使う練習をしてください。

 

 

 

相撲取りも、テキサス男もダメ!

 

ちょっとだけ話は逸れますが、マンガ家の描写力に感心することがありませんか? 「それはオーバー!」、「こんな人は、実際にはいない!」と思っていたのに、ある日それと同じ人をばったり目撃して、とても驚いた ―― そんな経験はありませんか? 

そこで私も描いてみました(アハハー!)。さて、この二人の後ろ姿から、どちらが中年女性に見えますか?

 

正解はありませんが、左の方が若い女性の場合が多い気がします。かたや、右の女性はスカートの裾がパンパンに広がっていて、中年以降の人に見えませんか? 

 

こうした脚を、オリバーは ”The Irvine Legacy DVD” の中で「テキサスの男」と表現しています。

マーカスはイタリアのレクチャーで、「相撲レスラーの形はダメ。はっけよい!」と、講習生を笑わせながら注意を促していました。

 

実は、膝が開くこの形は、タンゴに限らずどの踊りにも好ましくありません。理由は至って簡単です。体重が足の外に流れてしまうからです。

特に女性は、細くて高いヒールを履くことが多いので、その分、バランスが外に流れる可能性が高くなりますが、男女共に、そのまま踊り続けていると、崩れるバランスを取り直そうと色々無理する間に、体を痛めてしまうことがあります。

 

そうして起こる故障は、不思議なことに、直接脚部に起こるとは限らないので本当に注意が必要です。体を壊しては、好きなダンスができなくなってしまいますからね。

 

そこで、体重が外に流れると感じている人へのアドバイスです。

踊る前の簡易対処法として、大きく足を横に開いたまま歩いてフロアを1、2周するか、その場で1分間でも、左右の足に体重を乗せ換える運動をしてみてください。その後で踊ると、バランスが良くなったと感じることでしょう。

 

インターネットで調べると、「O脚は骨の歪みではなく骨盤や筋肉の付き方が問題なので、改善できる」と書いてありますから、ご自身でも調べることをお勧めします。

 

 

PSS応用編!

 

いま覚えたインサイド・エッジを使おうとしながら、PSSを応用してみましょう。説明は男性の踊り方です。

 

初心者向け

①PSSの2歩(QQ)から、2ウォークス(SS) ~ プログレッシブ・リンク(QQ) ~ クローズド・プロムナード(SQQS)。

②PSSの2歩(QQ)から2ウォークス(SS) ~ 右足の傍に左足を寄せながら、その場でPPになり、クローズド・プロムナード(SQQS)。洒落ていますよ!

 

 

経験者向け

①壁斜めに始めて2ウォークス(SS)し、左回転してLODに面します ~ PSSの3歩を踊り中央斜めに終わります ~ 右足ウォーク(S) ~ オープン・リバース・ターンへ(QQS QQS)。

②壁斜めにPSSの2歩(QQ)を踊ってからすぐにプログレッシブ・リンク(QQ) ~ クローズド・プロムナード(SQQS)。かなり格好いいですよ!

 

 

 

PSSを取り上げた二つの理由

 

          英国のテキスト

①一つ目は、「テキストに載っているベーシック・フィガー」ですが、サークルや教室で教わらないかもしれないと思ったので、取り上げました。

ベーシック・フィガーには、その踊りに求められる動きが含まれているので学ぶ価値が十分あります。

 

②二つ目の理由は、ずばり、リンクとの違いを学べるからです。

男性がPSSに入ると、リンクと勘違いしてPPになろうとする女性がたくさんいます。でも、PSSは「スクエア」のまま踊り通しますから、男性は「女性をPPにさせない!」と心に強く思いながらPSSに入りましょう。

一方、女性はリンクに似ているけれどもリンクじゃないフィガーがあることを知っておくことで、思い込みのフォローをしなくなるメリットがあります。

 

それにしても、PSSとリンクはとても似た動きをします。それもその筈、プログレッシブ・リンクはPSSの発展型として考案されたのですから! こうした歴史を知っておくのも、あなたのダンスをちょっぴり豊かにしてくれることでしょう。

 

 

そうそう!

初心者の男性も、前述の経験者向け応用の②を練習してみてください。PSSとリンクがとても似ているからこそ続けて使うことで、より早く踊り方の違いを会得することができるでしょう。

それから女性は、もしPSSの2歩目で瞬時にPPにネックを返してしまったら、「しまった!」と言う顔をする必要はありません。知らん顔して3歩目に入りながらスクエアに戻せば良いでしょう。強いリードを受けた場合そういうこともありますから、日頃からPPでボディを大きく開かないようにしておきましょう。

 

おおっと! 次のフィガーに入ろうと思っていたのに、色々書いている間にスペースを使い過ぎてしまいました(笑)。よし、こうなったら、もう少しお喋りしちゃいましょう(笑)!

 

 

 

足型では上手くなれない?

 

「足型をやっても上手くなれないよ」と言われたり、そんな話を聞いたりしたことはありませんか? でも、本当にそうでしょうか? 

 

私たち夫婦が最初に手にしたダンスの本に、アレックス・ムーア氏の「ボールルーム・ダンシング」があります。

この本には素晴らしい足型図が入っているので、ステップの説明と照らし合わせると非常によく動きを理解することができました。1936年の初版以来、増刷と改訂を繰り返し、80年を経て今なお愛読されているのには、足型図の存在を無視することはできないでしょう。

 

私たちには役立ったのに、「足型で上手くなれない」と言う人がいるのはなぜでしょう? そこで、実験用の足型図を右に用意しましたので、その通りに動いてみてください。

 

①ライズ&フォールやスウェイはありません。
②全部ヒールから出ます。

 

 

さて、あなたが動いていたときの形は、下の図のA、Bどちらでしたか?

 

 

どちらの形も間違いではありません。

でも、一歩ずつ踏み出し、「なーんだ、ただ歩くだけじゃないか」と気づいた瞬間から、Aのようにススッと歩くことができたのではないでしょうか。

 

どちらの形で動いても、足の場所は同じですし、移動もできているのに、二人を比較した場合、Aの方が遥かにナチュラルで美しく見えませんか? 

それはなぜでしょう。その答えの中にこそ、足型で「上手くなれない」原因と「上手くなれる」理由が隠されています。

 

 

踊りのすべては「一歩と一歩の間」に存在します。

「ただ足を出す」のは動作でしかありません。

 

 

Bの場合、出した足の上になかなか体重が乗って行かないので、動きが昔のロボットのようです。

一方、Aがナチュラルで美しいのは、いま体重が乗っている足から次の足までの間の動きが自然だからです。これは、ダンスでも同じです。

本当に上手な人の踊りを見ると、自然で簡単そうに見えるのはそのためです。

 

ですから私たちは、足型図から足を置く位置を理解したなら、この足から次の足へ最も無理のない自然な形で移動するにはどうしたら良いか、それを考えなくてはなりません。この考え方を知っていると、足型図はあなたに多くのメリットをもたらしてくれることでしょう。

スタンダードのみならずラテンでも、いつも、踊りは一歩と一歩の間に存在すると思って練習してください。

 

また次号で!
                  

 

 

 

もっと詳しく!(Q&A)

(※読者専用フロアでお答えしたことを、もう少し詳しく説明するコーナーです。)

 

質問:

なかなかつま先で立てず、立てても持続ができません。持続させるにはどうすればいいでしょうか。 (神奈川県 おとめ)

 

 

回答:

これは2月号の読者コーナーで取り上げた質問です。

実は、「ヒールを上げて」トウに上がろうとするだけでは、バランスが崩れることが多くあります。「ヒールを上げる(フット・ライズ)」する際は、「ボディ・ライズ」を伴わないと上半身と下半身のバランスが取れないため、トウで立つのが困難になります。ですから、12月号の連載記事「サークルで…」で書いたように、最初に頭頂部から上がる練習をしてください。

 

足首が硬くてヒールがあまり上がれない人は、高く上がろうとするより、バランスを取る方に集中しましょう。まず、首、肩、肘の力を抜き、股関節を楽にします。つぎに、バランスの取りやすい目線の高さを探しましょう。

足首が硬いと思っている人でも、ライズするときに「足の甲を前に出す」と思ってヒールを上げてみてください。考えていた以上に高く上がることでしょう。

また、うつ伏せになり、左右の腰を上下に転がす運動もしてみてください。足首が柔らかくなります。

このように、何かのアクションをするとき、その方法は一つと限定せず、別の形からアプローチしたり考え方を変えたりしてみると、楽しい結果が待っていることがたくさんあります。自分でも工夫してみましょう。

 

(ダンスファン2016年4月号連載15タンゴ3おわり)

 

ハッピー・ダンシング!

 

 

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