#453「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載18タンゴ6

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「おしゃべり」「フィガーの説明とヒント」「質問コーナー」と盛りだくさんの話題を通し、個人レッスンに行かれない人やパートナーがいない人でも上手くなれる近道をこっそり教えちゃいます。月刊誌ダンスファン連載記事(2015~2017年、全35回)の復刻版(加筆、修正あり)。

 

#453「サークルで上手くなっちゃって、ごめんなさい!」連載18
タンゴ6 ナチュラル・プロムナード・ターン ~ ロック・ターン

 

第3章タンゴが上手くなっちゃって、ごめんなさい!

 

4月14日午後9時26分に発生した熊本地震。多くの犠牲者と甚大な被害を出しています。この原稿を書いている時点でまだ地震は収束する気配がなく、避難者は8万人……。亡くなられた方のご冥福を祈ると同時に、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

前回はバック・コルテからオープン・リバース・ターンを踊り壁斜めに終わりました。そこからツー・ウォークス~プログレッシブ・リンクをしたと仮定して今月のフィガーに入りましょう。

 

 

 

ナチュラル・プロムナード・ターン

(Natural Promenade Turn)

PPの形からLODに沿って踊ることができます。タンゴを習い始めると早々に登場してくる基本フィガーの一つですが、いつまでもてこずるフィガーの一つかもしれません。

そこで、自分の経験を踏まえ、踊りやすくなる方法を説明します。私たちの説明や足型図から「自分が習ったのと違う……」と思う人もいると思いますが、それについては後半で触れています。

 

 【男 性】 

コーナー付近でLODに沿って始め、新LODの壁斜めに面して終わります。右股関節をゆるめてから~

①左足、LODに沿ってPPで横にステップします。(S)
②右足、PPで前進。右回転を始めます。(Q)

③左足、横少し後ろに置き、LODに背面して女性とスクエアになります。左足ボールで右回転を継続し、その間右足は左足前にCBMPに保たれます。(Q)
④右足を新LODの壁斜めに前進し、最後に(&)カウントで左足を右足に寄せてPPになります。(S&)

※いま男性は新LODの壁斜めに面し、新しいLODに沿ってクローズド・プロムナードを踊れる態勢にあります。

 

【フットワーク】 ①H ②H ③BHB ④H、続いて左足BのIE
※3歩目の(BHB)の足の使い方は、ボールから着いてヒールが下りて一度フラットになりますが、体重はヒールの方にはほとんどかからないくらいです。そこから再びボールを抜けて前進します。

 

 

【ここに気をつけましょう!】

1歩目は右肘を残して: 女性を 同時に連れていこうとすると、2歩目で自分が回り込むスペースを消してしまいますし、右肩が上がったり、頭と体が女性側に倒れたりもします。右肘を残し、女性を置いていく気持ちでヒールから出ていきます。ヒールから出ないと上体が前に突っ込み、やはり、2歩目の処理が困難になります。ズボンのベルト・ラインが床と水平に動いていくようにしましょう。

 

2歩目は壁斜めに: クローズド・プロムナードと同じ気持ちでステップすると3歩目が苦しくなります。ここは壁斜め方向にCBMPにステップするのがミソです。続く右回転が楽になるでしょう。

 

3歩目は顔の向きに注意: 2~3歩目での右回転がうまくできないと感じた人は、左足が床に着いたとき、顔(鼻)が左肩の方に向いていないかチェックしましょう。左を向くと左回転しようとする力が起きて右肩が前に残るので、右回転を邪魔するのです。前半の3歩は特に両肩(肘ではない)の力を抜こうと思って踊ってみてください。

 

4歩目は右足を探す: 4歩目右足は女性の右脚内側を探して出ていきましょう。左足へ向かうと失敗するケースが多いです。4歩目最後の(&)カウントで右足の傍に体重をかけないで左足を寄せてPPになります。この左足のヒールを高く上げると、脚部のシェイプが綺麗になりますし、次の動きがシャープになるでしょう。ボールのインサイド・エッジを使いますから、膝は少し内側に寄っています。

 

 

 

      
 【女 性】

コーナー付近でLODに沿って始め、新LODの中央斜めに面して終わります。左股関節をゆるめてから~

①右足、LODに沿ってPPで横にステップします。(S)
②左足、PPのままトウをLODの方へ向けて前進。(Q)

③右回転が始まり、右足を男性の両足の間(右脚内側近く)に出していきます。(Q)
④右回転を継続しながら、中央斜めに背面したところで左足を横少し後ろにステップ。更に左足の上で右回転を継続し、(&)カウントで右足を左足に寄せPPになります。(S)

※いま女性は新LODの中央斜めに面し、新しいLODに沿ってクローズド・プロムナードを踊れる態勢にあります。

 

【フットワーク】 ①H ②H ③H ④BH、次に右足BのIEで床を押えます。

 

 

【ここに気をつけましょう!】

1と2歩目はヒールから: 最初の2歩をヒールから出ましょう。これはタンゴにおけるPPの原則のようなものです。ヒールから出るステップでは、ヒールが先に床に着くだけでは不十分で、その後、フラットになった足の上を、ウエスト・ラインを水平に、膝と体重が乗り越していく動作が必要です。

 

1歩目は男性を先に: PPでは女性はいつでも男性を先にいかせる気持ちになりましょう。つまり、男性の右腕の中に居続けようとすることです。しかし、PPで目の前に空間が広がると気がはやり、多くの女性は男性と同時に「横並びで」出たくなり、右肘を伸ばしてヘッドから出ていってしまいます。でも、それが間違いの元なんです。女性は少し後から出る気持ちで大丈夫。

顔の向きにも注意しましょう。グリップより右方向に顔を向ければ向ける程、体は右回転しようとするので体重は右足を外れ、2歩目は希望する方向に出られないことになります。それは顔の向きが原因です。

 

2歩目は右足を探す: 右肘を突っ張っていると、男性の左手方向に体が回ってしまいます。2歩目後半で男性とスクエアに戻れずPPのまま動いてしまう女性には、これをしている人が多いと思います。右肘の力を抜いておくと、男性の回転に惑わされないでしょう。また、2歩目左足は男性の右足外側を探していきましょう。これが重要です。

 

3歩目で左を向かない: せっかくPPからスクエアになったのに、男性に「そっぽ向く」感じで大きく顔を左に向ける人がいます。しかし、その顔は体に左回転を促すので、次に男性の方に回り込む自分の動き(右回転)を邪魔します。3~4歩目で人さらいに無理やり連れていかれるような感じのする人は、顔が原因です。

男女とも、前半の3歩は特に両肩の力を抜こうと思ってステップしてみてください。かなり踊りやすくなり、ナチュラル・プロムナード・ターンが得意なフィガーになることでしょう。

 

 

 

 

今ではカップルで踊るのが当たり前になっていますが、ダンスの歴史的観点からすると、男女が向き合い、男性が左手で女性の右手を取り右腕の中に女性を抱える ―― こうした踊り方をした


最初はヴィニーズ・ワルツで、1830年代に全ヨーロッパで熱狂的に踊
られました。これより前の踊りでは、一様に決められたステップを踏み、手を取り合う以上のフィジカル・コンタクトはありませんでした(例外もあり)。のはタンゴが3番目でした。

2番目は1840年代に流行ったポルカでした。

そして3番目としてタンゴが登場するわけですが、この踊りはそれまでの踊りとは劇的に違っていました。それは、即興の概念が取り入れられたことです。この概念は20世紀におけるあらゆるカップル・ダンスに莫大な影響を与えました。
(history-of-tango.comより)

 

 

 

さて、文頭にも書きましたが、「このステップは、自分が習ったのと違う」と思っている人も多いと思いますが、もしかするとそれは、ナチュラル・プロムナード・ターンからロック・ターンにつなげた形かもしれません。

それではここからは、ナチュラル・プロムナード・ターンの応用編と参りましょう!

 

 

ナチュラル・プロムナード・ターン ~

ロック・ターンを踊ろう

圧倒的にポピュラーな踊り方です。ナチュラル・プロムナード・ターンの1~3歩を基本通りにコーナーで踊り、ロック・ターンの1歩目を新LODの壁斜めに向けて入ります。

 

①コーナーでナチュラル・プロムナード・ターンの1~3歩を踊ります。3歩目で男性は女性とスクエアになり、新LODの壁斜めに面します。(SQQ)
②新LODの壁斜めからロック・ターンの7歩を踊り壁斜めに終わります。(SQQSQQS)

 

 

 

⬛経験者向け

ここからは、経験者にも魅力的に思える踊り方を紹介しましょう。

 

1.同じLOD上で!

今のナチュラル・プロムナード・ターン ~ ロック・ターンを同一LODで踊ってみましょう。要領としては、

①男性はプロムナード・ターンの3歩目で回転量を大きくし、LODに面するようにします。

②ロック・ターンでは、男性は1~3歩間の回転量を増やし、中央に背面するようにします。そうすると、4歩目からのクローズド・フィニッシュで、楽に壁斜めに面して終われるでしょう。

 

2.合法の?ドラッグをしよう!

昔勉強したドラッグを使った、とてもかっこいい踊り方を紹介しましょう。コーナーでもLODに沿って踊ることもできます。「ドラッグ」といっても、違法ドラッグではありません。あっちは「薬類」のDrug で、こっちは「引く」意味の全く合法なDrag(笑)。

説明は男性の踊り方です。

①~⑦先に紹介したナチュラル・プロムナード・ターンの3歩(SQQ)~ロック・ターンの4歩(SQQS)を踊ります。いま男性は、左サイド・リードを使い左足にいます。

⑧左足に体重を保ったまま、右足ボールで床をしっかりプレスしながら、ゆっくり左足の方に引き寄せます。左サイド・リードは残しておきます。これがドラッグです。(SS)

⑨右足を左足に閉じ、すかさずPPになります。(&S)

 

 

今回はナチュラル・プロムナード・ターンを深く追求してみました。ではまた次号で! それまで、熊本・大分の地震が完全収束していることを祈るばかりです!

 

 

 

もっと詳しく!(Q&A)

(※読者専用フロアでお答えしたことを、もう少し詳しく説明するコーナーです。)

 

質問:
ダブルリバースの回転がうまくいきません……。(大阪府 カズチャン)

 

回答:
女性からの質問ですが、男女共に、一人でなんなく踊れるようになるまでシャドーしましょう。

さて、女性が「右足ヒールに乗りたくなる」のはどういう場合でしょう?
また、そこに「左足を寄せたくなる」のはどういう場合でしょう? 

観察をしていくと、「右足ヒールに乗りたくなる」のは、右ヒールの後ろに「倒されそうになるとき」と分かります。この状態になると、左足も右足に寄せたくなりますが、右膝が緩んだまま、男性のリードが「ヒールの後ろに」抜けていかなければ、「左足も揃えたくない」ことが分かってきます。

また、ヒールの方に倒れていくには、首の力を抜いて背骨の延長の左肩近くの方向に頭を乗せていくと、自然なヒール・ターンに入れることが分かるでしょう。

 

その上で、男性と踊るとき、最初の2歩は内回りですから、楽に「倒れそうになること」だけを考えます。

しかし、3~4歩目はそこから一転して、外回りですから、2歩目の終わりで左足を使い積極的に出ていかなくてはなりません。男性の右腕の上にある左手が「ほんの少しも」ずれないよう、そして、ボディは男性のボディから縦ずれ・横ずれを起こさないようにしながら、積極的に動いていきます。

顔が左へ左へ向こうとしたり上半身で回転しようとすると、体が捻じれ、ずれてしまいます。頑張れ!

 

(ダンスファン2016年7月号連載18タンゴ6おわり)

 

ハッピー・ダンシング!

 

【関連記事】

*動画あり
#031 4.ロック・ターン (Rock Turn)
#147 8.ナチュラル・プロムナード・ターン  (Natural Promenade Turn)

 

 

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